「生きていたんだよな」テルマ&ルイーズ ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
生きていたんだよな
NHK BSドラマ「照子と瑠衣」を観て、タイトルから「テルマ&ルイーズ」のもじりだと感じていたが、肝心の元ネタを観てない。女同士の友情や絆を描く物語らしいな、くらいの知識。ドラマは70代の女性2人だが、本家はアラサーてとこかな、けっこう若かった。
夫から束縛(今ならDV)されているテルマは、友達のルイーズからプチ旅行に誘われ、行くことにしたが、どうしても夫に言えない。言ったら怒って止められるから。なので、黙って出てきた。久しぶりに遠出したら気分が上がり、バーで声をかけてきた男と踊ってさらにいい気持ち。そしたらそいつは…。
テルマの軽さがちょっとムカついたが、社会との接点が薄かった分、ある意味で無邪気だったのかもしれない。教わったことはすぐ実行しちゃうし、銃にも順応する。ルイーズは硬いところがあるが、どうやらテキサスで過去に何かあったらしい。彼女達が雪だるま式に罪を犯してしまうのは、偶然のせいもあるが、元は被害者だからだ。レイプされてから殺すか、される前に殺すか、どちらが正当防衛で、どちらが殺人罪か。でも、その場でどっちが罪が軽くなるか検討の上、レイプされてもいいなんて考えられない。何がなんでも抵抗するのが当たり前。誰だって暴力に屈伏したくない。
アメリカの荒野は果てしない。岩山がところどころあるが、ひたすら茶色い平地。その道を砂埃を立てながら、酒と煙草をお供に、水色のオープンカーが飛ばしていく。この風景がオープニングに使われているが、白黒から少しづつ色が付いて、最後は濃く夜のように変わっていくのが、すごい好き。時間を超越してる感じがする。
刑事ハルは、彼女達の事情を理解するが、自首させることはできなかった。もはや凶悪犯と見なされた2人は、警察に逮捕されるか、狙撃されるしかない。テルマとルイーズは、仕方なくあの道を選んだのではない。自由と誇りを守るために飛んだ。もういいね。がんばったね。行こう、彼方へ。このラストシーンで、私はあいみょんの「生きていたんだよな」が脳内に流れた。
「今ある命を精一杯生きなさい」なんて綺麗事だな
精一杯勇気を振り絞って彼女は空を飛んだ
鳥になって雲をつかんで
風になってはるか遠くへ
希望を抱いて飛んだ
歌詞の背景は違うけど、めちゃくちゃシンクロした。テルマとルイーズは、生きて生きて生きていたんだよな。
ブラピが雨に打たれて、しょぼんとしてる姿は、キュンとした。んー、かわいいったらない。
BS松竹東急の放送を録画で。
ぷにゃぷにゃさん
「 私たちが光と想うすべて 」へのコメントを頂き有難うございます。
そうですね。
自身が抱える悶々とした想いに気付きながらも、前向きに生きようとする女性達の姿がリアルに描かれていました。
ぷにゃぷにゃさん
お心遣い有難うございます。
NHKドラマ「 照子と瑠衣 」良かった、という事なんですよね。素敵なお二人をもう少し観ておけば良かったかも知れませんね。