劇場公開日 2024年2月16日

「男社会が作った罪と残虐性に関する話。」テルマ&ルイーズ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5男社会が作った罪と残虐性に関する話。

2019年11月25日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

一つのウソを覆い隠すためにウソを重ねるしかなくなってしまう話は、良くある。一つの過ちから逃げおおせるために、次々と過ちを重ねるしかなくなったテルマとルイーズ。そのどこかでやり直せるチャンスがあったかと言うと、思い浮かばない。弱い立場にいる女。女の弱さに付け込んで、力づくで抑え込もうとする男。騙す男。助けようとする男。異なるタイプの男たちが出て来ます。テルマとルイーズを助けられたのは、刑事のハルだけだったかも知れない。

終わりは悲劇だけれど。女の弱い立場に甘んじて生きていくのも不幸。レイプされた女の方が悪いことになってしまう様な国で、裁判なんか受けたくない
と言う気持ちは判る。他人の手に運命をゆだねるくらいなら、自分の運命を自分で決める道を選ぶ。ハルの説得を聞かず、メキシコへの逃亡を続けた二人の判断は、法的な合理性に欠くけれど、問題はココロの方なんであって。

テルマとルイーズが乗っていたのは、「1966年型 Ford Thunderbird convertible」。Thunderbirdの第4世代、V8エンジンのFR車。水色に見えますが、カタログ上の車体色表示は「Green」。ショーンコネリーの007 Gold Fingerでも使われていた、アメ車の代表みたいなアメ車です。

刑事役のハーベイ・カイテル、未だ無名だったブラッド・ピット、乗りに乗っていたスーザン・サランドン、おそらくキャリアハイのジーナ・デイビス。エイリアンやブレードランナーから、大凡10年後に撮られたリドリー・スコット作品は、アカデミー賞の脚本賞"しか"獲れませんでした。今見ても、テーマの社会性の重さは感じられる。要するに、女性の立場の弱さは余り変わってないってことなのか。なんか、やっぱり、リドリー・スコットって好きやわぁ。

良かった。とっても。

bloodtrail
kazzさんのコメント
2019年11月28日

キャメロンへのメッセージですか、
そう考えるとカッコいいですね。
この映画は、リドリー・スコットらしさが弱いなと思ったのですが、キャメロンだけでなく他の監督や作品へのオマージュを散りばめていたようにも思えます。

kazz
kazzさんのコメント
2019年11月27日

そうでした!
エイリアン2でも、断崖ヘリコプターみたいなシーンありましたね。
なるほど、リドリー・スコットが、続編を引き継いだジェームズ・キャメロンの模倣をした訳だすね。
ヘリコプターなどの飛行物は上から来るのが常識だから、下から出現する演出はインパクトありますよね。
確か、ランボーの2か3でもありました。

kazz