椿三十郎(1962)のレビュー・感想・評価
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豪胆知略と流麗剣撃、ふたたび!
"用心棒" の姉妹編的作品。
DVDで3回目の鑑賞。
原作(日日平安)は未読。
藩の不正を暴こうと集まった9人の若侍。浅慮な彼らをひょっこり現れた浪人・三十郎が導いて、大胆な知略と剣撃で悪と戦う様を描いた痛快エンターテインメント時代劇。
名前を訊ねられれば、庭に咲く椿の花を見、「椿三十郎。もうすぐ『四十』郎だがな」。すぐ嘘と分かるし、名乗りたくない意思が分かる。洒落っ気もあって、センスがいい。
正義に燃えて突っ走る若者に待ったを掛け、「見ちゃいられねぇ!」と先導。彼らを見事コントロールして、敵を騙して懐に入り込み、全てを掌の上で転がすと云う大胆さ。
言うことがいちいち的を射ているために、反論しようにもこちらはぐうの音も出ない。そして、ことごとくその通りになっちゃうもんだから、着いて行かざるを得ない(笑)。
ハラハラ・ドキドキさせてくれるストーリーは何回観ても楽しいし、抜群の面白さがあって、全然飽きが来ません。
スリル、アクション、ユーモアのバランスが絶妙な塩梅で配分されていて、これぞエンターテインメントだなぁ、と…
三十郎と室戸半兵衛の決闘が凄まじい迫力でした。静寂の睨み合いから壮絶な血飛沫を伴う決着と云う、静と動の演出が秀逸で、一瞬の内に散った命の衝撃に息を呑みました。
[余談1]
ちゃんとした刀は鞘に入っている。
心に刻もうと思いました。
[余談2]
加山雄三と田中邦衛の口論はまるで若大将対青大将(笑)。
[以降の鑑賞記録]
2022/11/26:Amazon Prime Video(東宝名画座)
※修正(2024/06/26)
ごめんあそばせ
入江たか子が三船の対極にあって、このコントラストがこの映画にとてつもない広がりを示している。この2人を線で繋ぐと社会全体を捕捉しているようでもある。単に天衣無縫な世間知らずで笑えるというだけではない。危機にあって、若侍9人にすがるでもない、ピシャリと「それでは皆さんお願いします」とだけ伝えてしまう。三船の手に負えない。彼女には社会の上に立つ者の自覚と覚悟がある。戦前戦中の大女優。そのオーラは、描かれる世俗を常に凌駕している。
その挙げ句の果てに出てくる伊藤雄之助の顔にやられてしまう。この昼行灯感。まるで本者の権力者。現在においても、こういった配役を考えて欲しいものだ。
やはりアバヨと去る三十郎。社会規律の有無という点で用心棒とは少し違った趣きを放つ。
4人を救助する殺陣での容赦ない速さ、最後の決闘シーンはコマ送り再生したいところ、加山雄三と踊り喜ぶ小林桂樹と印象的なシーンは多く、ストーリーが動的でエンタメ性は前作より高い。
なんじゃこりゃー!
リメイク版がいまいち振るわなかった理由が、今作を見てわかりました(織田さんのファンだけど)。
すげー!。なんじゃこりゃー!!。
それに加山雄三さん&田中邦衛さんが若侍で出てるなんて、聞いてないよ。
多分黒沢監督作品も三船さん作品も、初めて見た気が。
ちょっとカルチャーショックで呆然。
リメイク版は黒沢さんの脚本そのままだったので、内容も知っているのに。
「俺は機嫌が悪いんだよ」と悪ぶる三十郎だけど。
若侍たちから「あの人はいい人だ」といわれ、ふてぶてしさまでもが頼れる兄貴分っぷりがかっこええ。
途中三十郎が、30人の相手を次々と斬り倒す場面(実際は40人使ったらしい。)。うっひゃー!と驚く刀さばきは、流れる風景のよう。
見張りの侍木村(小林桂樹さん)が戸棚に入っていく所や、攻め入るのは椿の合図のシーンは、愉快痛快。このシーン、リメイクでも面白かったし。
「音版悪いやつはとんでもないところにいる」
「本当に言いかた名は鞘に入っている」
そんな決め台詞にしびれました。
伝説の室戸半兵衛との対決シーン、やっと見れました。ス・ッゲー!
こんなすごい作品をリメイクするのは、分が悪すぎましたね。
この作品のエピソードゼロ的「用心棒」。ちょうど数日前に見逃しちゃっいました。もったいない。
見てよかった作品でした。
鞘に収まらない刀
とても面白い
多分一番最初に見た黒沢映画だったと思う。この映画で黒沢作品は面白いんだなあと、言われているだけのことはあるなと思った記憶がある。そうして改めて見たらやっぱりとても面白かった。ドラマが冒頭からドライブしていて、最後までそのまま走りきる感じでよどまない。
登場人物がみんなキャラが立っていて可愛らしかった。殺陣もすごい迫力だった。
ハン・ソロの原型は「椿三十郎」だわ!
「用心棒」でキャラが確立した三船敏朗演じる凄腕の浪人三十郎が
今度はちょっと頼りない若者たちを導きながら悪と戦う話!
いやあ〜〜楽しい〜〜
めっちゃ笑えるし〜〜
流石の殺陣シーンは変わらぬ見事さに加えて
思慮が足りない若者達の右往左往ぶりを
側から眺めてる三十郎の目線が、悪態をつきながらも結構暖かく
清濁併せ呑む人物の大きさが伝わってきて
男が惚れる男!!感が半端ない!!
こんな先輩がいてほしいなあ〜〜
月に8本ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
たまたま、テレビでスターウオーズ4(第1作)を観たら
ああ、この映画のハン・ソロはまるで「椿三十郎」だわ!!
世間知らずで正義感だけで突っ走る若きルーク・スカイウオーカーを
危なっかしくて観ていられねえ〜〜と
悪態をつきながらもなんやかんやで助けてくれるハン・ソロ!
ほとんど「椿三十郎」の三船だ〜〜
ダース・ベーダーの威圧感は「天国と地獄」の権藤を演じる三船。
冷静にルークを導くオビ・ワン・ケノービーは「赤ひげ」の三船。
J・ルーカスがオビ・ワンやダース・ベーダーを
三船氏にオファーしたのは有名な話だけど
本当にJ・ルーカスはどんだけ三船が好きなんだ(笑)
「用心棒」と「椿三十郎」を入り口に是非是非
世界で絶賛される三船敏朗氏を堪能してみてください。
@もう一度観るなら?
「定期的に映画館で観たい!」
三船敏郎の見事な剣さばき!
「用心棒」の続篇…というか姉妹篇。
山本周五郎の小説を下敷きにしているだけに、「用心棒」にあった無国籍性は消え、“時代劇らしく”なっている。
椿三十郎と桑畑三十郎が同一人物かどうかは分からない。
用心棒桑畑三十郎は、決して人助けを目的にヤクザの抗争に介入したわけではないが、椿三十郎は最初から若侍たちを助けようとしている。
「生きるも死ぬも我ら9人…」
「いや、10人だ!」
と、生死を共にする意思も表示する。
この場面、「七人の侍」で、浪人6人で編制しようとしていた用心棒部隊に「7人目」として強引に加わる若き三船敏郎を、一瞬連想する。
本作、三船の剣技は冴え渡る。
前作を 凌駕するスピード感で、大量に斬る。
瞬時の斬り捨ては、考え抜かれた刹陣と三船の身体能力によって、説得力がある。
しかし、
この映画はヨーロッパでもヒットし高い評価を得た反面、殺戮シーンの血糊が残酷だと批判も受けた。
黒澤明はそれを反省して、以降リアルな血糊を使う殺傷シーンは撮らなかったというから、驚きだ。
三十郎が室戸を訪ねる場面。
門を叩いて門番と交渉していると、正門が開いて騎馬隊と槍隊がゾロゾロ出てくる。
最初は水平位置だったカメラが、ここで少し下がって仰角になり、三十郎が騎馬隊を見上げる様を背後から捉える。
やがて仲代達矢演じる室戸が現れ「おう、来たな」と歓待するところで水平位置に徐々に戻る。
このワンカットは、間近にいる三十郎と高さのある騎馬隊を近距離で撮影していて騎馬の兵は画面に収まりきっていない。これが、敵兵の物量的迫力を表している。
一方、
敵の拠点である隣家に兵が集まってきた場面では、
クレーンを使っているのか、カメラが塀を乗り越えて隣家の兵の全貌を俯瞰で見せる。
異なるアプローチで敵兵の脅威を表現する演出の見事さ。
「七人の侍」では、モノクロ画面で雨を効果的に見せるために墨を混ぜた水を使ったとのこと。
「椿三十郎」では、赤い椿の花をより赤らしく見せるために、花を黒で着色したとか。
映像効果を高めるために、とことん拘ったアイディア。
映画史に残るラストの決闘場面。
ここでも三船は恐るべき抜刀スピードを見せる。
対決前、「俺が斬られても、こいつらは斬るなよ」と、若者たちを護る優しさ。
ニヒルで、あまのじゃくで、実に格好いい。
後年、
“世界のミフネ”となって「レッド・サン」で、ブロンソン、ドロンと共演し、インディアンたちを相手に剣技を披露する。
緩急自在の三十郎
三船敏郎〜‼︎
三船敏郎格好良い
ものを知らないのでこの映画が有名なことを少しも知らずに視聴。
良かった。
ダイ・ハードを観た後だったので、これはこれで日本の強さ格好良さなんだなと。
日本にしか作れないカッコ強いものというか。
ジョーク要素もあって最高。
しかし最後のは・・・
素晴らしいだけあって血の量が白けさせてしまうので
少し残念であった。
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