「痛快娯楽時代劇」椿三十郎(1962) 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
痛快娯楽時代劇
1962年。黒澤明監督作品。
1961年作の「用心棒」の続編的映画とされる。
実に面白い。
主人公の侍が名前を訊ねられて、庭を見廻し咲く椿の花を見て、
「椿三十郎もうすぐ四十郎だか・・・」と呟く。
この台詞は「用心棒」の浪人が名を聞かれ、目の前の桑畑に目をやり、
「桑畑三十郎・・・もうすぐ四十郎だが・・・」とそっくり同じだ。
桑畑三十郎も椿三十郎も汚い髭面に汚れた着物、いつも腹を空かしていて、
大飯食らい、いつもは、だらしなく腕枕で寝ている。
神社の社殿で造反の相談をしている若侍が九人。
それを盗み聞きした浪人(三船敏朗)は、若侍たちに知恵と力を
貸すことになる。
それが御家騒動の大顛末を招く。
桑畑三十郎がより進化したキャラクターになっている。
より人間味が増し、ユーモアと知略が冴え渡る。
映画史に残る様々な名シーン。
四十秒で三十人を叩き斬るシーン。
(実際には撮影技術の関係で四十六人を斬ったと言う)
そして、合図の椿の花を池に流すシーン。
赤は「攻めろ」、白は「中止」
これは三十郎の真っ赤な嘘。
そしてラストの仲代達矢との果し合い。
たった一斬り。
ポンプで放出した噴き出す血潮の派手なこと、派手なこと。
黒澤明はあまりにその後に真似をされて、後悔を感じて以降このような派手な殺戮シーンを封印してしまった(非常に残念です・・・)
1961年の興行収益邦画第一位。
映画館で観たかった映画のひとつですね。
過去鑑賞
琥珀糖さん、こんにちは。
黒澤明監督と三船敏郎さんが別れてしまった事は、お互いにとって不幸なことだったと思います。以前スピルバーグ監督も黒澤明監督に、"また用心棒や椿三十郎みたいな映画を撮って下さい"とお願いしたらしいです。黒澤明監督の答え→"もう歳だから"
琥珀糖さん、コメントありがとうございます。「椿三十郎」は、三船敏郎特集をやっていて映画館(新・文芸座)で見ました。今見たらレビューは書いてませんが(どうレビューを書いていいものやらわからなかった)、☆は4.5でした。椿のシーンに心奪われた記憶がとても強かったです。琥珀糖さんのレビュー読んで思い出しました。
琥珀糖さん、コメントありがとうございます。
山本周五郎原作を大分変更したみたいですね。制作準備に時間を掛ける黒澤監督では珍しく短期間で作り上げた作品ですが、そのお蔭もあってか、全く無駄の無い映画に仕上がっていて流石だと思います。それに真面目な題材を迫力あるタッチで演出する黒澤演出の、何方かと言うと不得意なユーモアもあって、黒澤映画の中では特異な存在となりました。こちらのサイトでは「用心棒」より評価が高いですね。やっぱり三船敏郎の演技と存在感が素晴らしいです。名優の最高の役ではないでしょうか。
コメント有難うございます
私は年齢的に黒澤明監督作を、映画館で観たことはありません。
ですが、配信が進む中、邦画の昭和30年代から40年代の黒澤監督作や、小津安二郎監督作などを少しづつ観ています。
諸外国の有名監督が、影響を受けたと語っている事が、分かる気がします。コロナ禍により、新作が作りにくい状況が続いており、過去の名作が続々とリマスター版で上映されていますが、邦画の名作も上映してくれないかなあ・・・、と思っています。では。