「タイトルは主題の逆説」チャンス bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルは主題の逆説
午前十時の映画祭にて、初見。
'79のアメリカ映画。シャーリー・マクレーンは当時44歳。いやー、大女優の年齢を追い越しちゃったよ、ってのが最初の感慨としてある訳で。「年下」のシャーリー・マクレーン、めちゃくちゃ可愛い。ちょっとシワあるけど全く気にならないです。
映画の方は、「庭の事しか判らない」男の言葉を、奇妙に拡大解釈した周囲の勘違いから、男が大統領のフィクサー的存在になってしまう物語。当時の政界に対する皮肉と風刺、と言う要素もあるにはあるが、純粋にコメディとして見るべきで、声を上げて笑ってしまう場面がいくつかあった。なんせ主演はピーター・セラーズだし。
最後の場面、チャンスは水没することなく池の水面上を歩きます。これが、現在の状況を象徴するものなのか、未来の事までを含めた示唆なのかは不明ですが、まぁ、あまり問題では無いと思われ。何がどちらにどう転ぼうが、チャンスにとっては大した話では無いと考えられるからです。テレビがあって、食べられれば幸福なんだから。
周囲のほぼ全員が理解しているチャンシーなど、何処にも存在しない。これが主題だと思う。being there の逆。世の中のあれやこれやは勘違いと幻想かも知れないけれど世界は回り続ける、って言う映画。
読み書きができないチャンスの脳は、テレビに依存しています。放送されるテレビ番組は、当時の世相を伝えてくれるものなんだと思いますが、「セサミストリート」、条件付き確率の議論を巻き起こした「モンティ・ホール」、「ゲーターレードのCM」くらいは判った。Deotatoの「ツァラトゥストラはかく語りき」の乗って家を出、ワシントンのダウンタウンに繰り出すシーンも印象的。この曲を聴くと、「あーーー、'70年代だぁ!」って思う。