「オリジナル脚本の勝利」キサラギ Chemyさんの映画レビュー(感想・評価)
オリジナル脚本の勝利
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登場人物4人によるワンシチュエーションドラマなので、舞台劇の映画化と思ったら、オリジナル脚本だった。これはズバリ脚本の勝利。あるアイドルの自殺の真相をめぐって、ファンサイトで知り合った4人の男たちが織りなす一風変わった推理劇。まずファンサイトで知り合ったという現代的な設定が効いている。匿名によるネット上での交流は相手の正体が分からないという点がミステリー向きだ。案の定、物語が進むうちに集まった男たちが何らかの形でそのアイドルに関わりがあるうことが分かり、他殺の可能性が大きくなって行く(犯人はこの中にいる?)。一幕の室内劇は、登場人物のキャラクター設定がしっかりしていないと面白みが欠ける上に、テンポや間を外すと退屈になりやすい。本作では演技力の確かな俳優を集め、テンポよくコミカルに進み(前半で若干、タルい感じなる所もあるが全体を通すと気にならなくなる)、最後まで飽きさせない。事件の結末も意外性があって良い。ただ、ある意味主役でもある当事者のアイドルの顔をぼかし、観客の想像力を煽るという気の利いた演出をとっていたのに、エンディングでそのアイドルを登場させてしまったことが残念だ。もう1つ、エンディング後のエピローグ(?)はいらなかった気がする。エンディングバックでの4人のキレッキレッのオタ芸が最高だっただけに、蛇足感が否めない。
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