マイティ・ハート 愛と絆のレビュー・感想・評価
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「テロには屈しない」という言葉は、一国の長が言うのと、最前線にいる民間人が言うのとでは重さに雲泥の差がある
ウォールストリート・ジャーナルの記者ダニエル・パール氏がパキスタンでの取材中に行方不明になった事件を、妻であるマリアンヌが描いたノンフィクションの映画化。相変わらずフィルムをぶつ切り状態にして緊迫感を出し、ドキュメンタリー風でもあるマイケル・ウィンターボトム監督作品です。
主演女優のアンジェリーナ・ジョリーは本人になりきった演技でかなりのハマリ役。ブラピとともにセレブでありながらセレブらしくない社会活動をしている彼女は、もしかするとラジー女優候補を脱却するかのように社会派映画に進出するのかもしれません。
映画は夫ダニエルが行方不明となり、テロリストとの関連やダニエルの足取りを追い、犯行声明が読み上げられるといった展開の緊張の連続。パウエル元国務長官のパキスタン政府への呼びかけという実写映像があったりして、生々しさはサスペンス映画以上でもありました。妻マリアンヌの心理描写が中心かと思いきや、パキスタン捜査陣の国のメンツをかけた戦いも印象に残る内容。もちろん心に響くのはアンジーの演技でしたけど・・・。その他、アスラ(アーチー・パンジャビ)が人物相関図をホワイトボードに書き込む姿も印象的。
インド人は皆モサドのスパイ、アメリカ人は皆CIAと疑心暗鬼になってる人が多いパキスタンの地。もちろんテロリストに賛同する一般人もいたりして、捜査は難航し、心臓が止まってしまうほどの偽情報も流れたりする。そして犯行声明ではグアンタナモ基地で不当勾留されている人を解放しろといった内容・・・これは同監督の『グアンタナモ、僕たちが見た真実』をセットで鑑賞したほうがいいのかもしれない。ほぼ対を成す映画のような気がする。
「アメリカ人記者はテロしか取材しない」というパキスタン人の言葉も印象に残りましたが、映画の最後にはインタビューを終えたマリアンヌたちがTV局を去ろうとするときに報道陣に取り囲まれる。純粋なジャーナリストを目指したパール夫妻が、下世話な報道記者たちと対比される部分でもあり、ここでもマスコミの在り方が問われている。多くの社会派映画を撮っている割に政治色を感じられない監督の起用も純粋な心に因るものかもしれない・・・
【2007年12月映画館にて】
政治や民族のからむ社会派な作品だが、あくまで個人のことを描いた話
総合: 75
ストーリー: 65
キャスト: 85
演出: 80
ビジュアル: 75
音楽: 65
事実を基にした映画だしそれを描くことを重視しているようで、必ずしも起承転結がしっかりしているものではないし、その意味で素晴らしい抑揚がある物語なわけではない。ひどい不幸にみまわれようと、あくまでジャーナリストとして理性的に振る舞う彼女は本当に強く、そんな彼女の姿と事件の展開が描かれる。夫が誘拐された妻とその周囲の人々を描いているので、事件のわりにあまり深い政治的・社会的主題があるとも思わない。それは妻マリアンヌの手記が原作であって、パキスタン側、特に犯罪者側の視点がないのも一因。
だが演技者のすぐそばでカメラを回す撮影方法と、パキスタンの街中に入って駆け回る人々の臨場感のある演出はとてもよかった。このようなドキュメンタリー調の映像は出演者の演技の良さもあって、緊迫感と関係者の感情を反映していた。特にアンジェリーナ・ジョリーは、心配で押しつぶされそうになる自分の感情を制御しながらも、自分に出来る最大限の努力をする理知的で強い心を持つ女性を上手く演じていて評価できる。捜査や結末を見て本当は言いたいことや思うことはあるだろうが、それでもそんな本当の自分を押し殺して最後まで冷静に振る舞った。だからこそ感情の制御を失ったときの爆発が凄まじい。事件や人物を白板に書いて整理していく方法もジャーナリストがやりそうなことだし、犯人を追跡していくパキスタンの捜査員も迫力があった。
強い不安を感じながら見ました
アンジェリーナジョリーが主演でブラッドピットがプロデューサーということだけでも、
ミーハー心で見たかった映画です。
映画が始まってすぐ、そしてこの映画中、恐ろしく不安な気分になり、どんどん不安が大きくなっていきます。
心拍数が上がったまま、瞬きもできずに、不安な心で物事のいきさつを見守るだけです。
願いとは裏腹に、状況はどんどん悪い方向へと進み、
長い長い不安の日々に、精神も消耗していくのですが、
そんな中でもマリアンヌは希望を信じて、強く、毅然として、あきらめない。
なぜ。
どうして。
という疑問は、誰もが感じるでしょうが、
その答えはとうとう私にはわかりませんでしたが、
マリアンヌは本当にタフです。
彼女のテレビインタビューでのメッセージは、すごすぎです。立派すぎ。
そして、解決のために働いた人々もほんとに優秀でしたと思います。
少なくとも私は、彼女ほど立派ではないので、
大事な人をそんなに危険なところに行かせたくないです。
そんな危険な仕事を持つ人と暮らせないです。
あんな不安に私は耐えられそうもないから。
偏見といわれようと、
町中の人がすべて怪しく見えてくる、そんな異国の町には一生行きたくないと思いました。
アンジーの演技は最高だが…訴えたいことは何?
ウィンターボトムらしい作品といえる。ドキュメンタリー映画のような撮影手法は臨場感があるものの、時間軸が行きつもどりつで、ぼーっと観ていると何がなんだかわからなくなってしまう。
アンジーほかキャストはなかなか良かったと思う。ブラピが原作を読んで映像権を手に入れたそうだが、何を訴えたいのかがストレートに伝わってこないため、観客は置いてけぼりをくわされたような印象を受けてしまうのが残念!
ラストシーン(フランス)に、原作者本人と子どもが登場しているようだ。説明がなかったが…アンジーの最後のセリフより推測できる。粋な計らいだと感じた。(もし違っていたらスミマセン!)
事実は小説より、単調です。
2002年1月、パキスタンにおいて実際にあった、ウォールストリートジャーナル紙記者の誘拐殺人事件を描いた作品。ブラッド・ピットが製作に携わったことでも話題にもなりました。
9.11以降、テロとの戦いやイスラム世界とアメリカの対立を描いた作品は数多いですが、これもその一つです。しかしながら、戦争ではなく、戦争を報じるジャーナリストが巻き込まれた事件、そして、自身もジャーナリストである誘拐被害者の妻を描いています。その意味では、一般の9.11モノ(と敢えて言いますが)とは、一線を画している作品と言っても良いと思います。
アンジェリーナ・ジョリーが、事件被害者の妻マリアンヌ・パールを演じています。妖艶な雰囲気の演技の多い彼女ですが、この作品ではその妖艶さは封印。夫の誘拐に苦悩する妻、そしてそれにもめげず強く生きる妻を演じています。実在の人物を演じているわけですが、マリエンヌ本人と、映画のアンジーは、非常に良く似ています。実際、アンジーはマリエンヌ本人とも知り合いであるそうで、その事が役作りに役立ったのかもしれませんね。
”事実は小説よりも奇なり”とも俗に言いますが、この映画は逆に、”事実は小説より単調である”と言って良いと思います。映画のシーンのほとんどが、マリエンヌの自宅です。そう言う、シーン転換の無さが画面にちょっとけだるい単調な雰囲気を与えてしまったのは否めないと思います。
実際の出来事を映画にしたので、結末は分かっていますが、改めて映画で見てみると、不幸な出来事と言うのと同時に、何で分かり合えないのだろうか?と言う、疑問が再び頭の中に沸き起こりました。
考えさせられます
旦那と子供がいるので、自分の身に同じことが起きたらと思ったらとても怖かったです。この事件について申し訳ありませんが覚えていなかったのですが、いろいろと考えさせられると思います。ただ確かに名前になじみがなく覚えにくいのと、顔も区別がつきづらく、誰が誰だか分からず、難しかったです。
凄くつまらないわけではないけど、眠くなりました。
臨場感出すためなのでしょうが、ハンディカメラによる撮影のためか、画面が安定していなくて疲れます。又、色々な立場の人々の名前が交錯し、再び名前が出ても誰のことだったかすぐに思い出されません。
映画の内容よりも作り方に共感できませんでした。
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