「気に入ったけども不満も残る」アヒルと鴨のコインロッカー kalichan88さんの映画レビュー(感想・評価)
気に入ったけども不満も残る
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大学の為に1人暮らしを始めた椎名は、ちょっと変わった隣人、河崎と友達になる。さらに隣の住人はドルジというブータン人と聞き、だんだんと河崎とドルジ、元・彼女との過去の出来事が紐解かれていく…。
映画を観た後に、伊坂幸太郎が原作と知ってなるほどなぁーと思った。おそらく本の方がうまく書かれているのだろう。映画としてもよく出来ているが、ちょっとミステリーとしては弱い気がする。むしろ大学生の狭いアパートの感じやシンプルな人間関係、そして切なさの方が前面に出ている気がする。人物の説明や出来事の描写など、語る人によってイメージが変わるというのは、小説らしいと思えばそうだ。ボブ・ディランの曲が作品を寂しげに優しく包む。ゆっくりしたテンポがよい。
主人公椎名のキャラクターがとてもいいと思った。濱田岳がとてもいい味を出している。そして、河崎が妙に変な喋り方をするなぁと思っていたら、それもちゃんとミステリーの鍵になっていたのが面白かった。
いくつか不満があるとすれば、外国人ドルジが日本人と同じように喋ることができるのに、字を「全く」読めないというのはおかしい。それは有り得ない。そもそもドルジは大学の為に日本に来たのではないか?ならば絶対に字が読めるはずだ。
海外に何十年住んでいても、アクセントはそう簡単に取れないものなのだ。(アメリカ在住20年の私が言うのだ。)話の重要な部分で無理があるというのが、この作品に歯痒さを感じる要因だ。
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