エクスマキナ : インタビュー
士郎正宗(「攻殻機動隊」)のコミックを、モーションキャプチャーを取り入れた斬新な手法で描き話題となった3Dアニメーション「アップルシード」(04)。そのシリーズ最新作となる「エクスマキナ」は、ジョン・ウー(プロデュース)、プラダ(衣裳デザイン)、細野晴臣(音楽監修)といった各界の豪華メンバーが集った話題作。そんな本作を、前作に続き手掛けた荒牧伸志監督に話を聞いた。(聞き手:編集部)
荒牧伸志監督インタビュー
「ジョン・ウー効果が出ていると思ってもらえれば、とても嬉しいですね」
■2作目で変化したこと
「エクスマキナ」は、特殊部隊に所属する主人公デュナンと、その公私に渡るパートナーのブリアレオスが、続発するサイボーグによるテロ事件に立ち向かうストーリーだが、前作「アップルシード」との直接的なつながりはなく、続編というよりも新作といった趣き。
監督は「基本的には新作のつもりで作っていますが、続編として見てもらっても、ゼロから見てもらっても成立するような構成にはしたつもりです。それはそれで大変でしたが、単なるブラッシュアップではなく、一度リセットしてゼロから作れるというのは、作り手として大きなチャンスでした」と手応えを感じている。
前作では不可能だった表現も可能になり、映像も大きく進化した。
「感情表現を含めた違和感のないキャラクターの表現や、通行人や街の背景に人の生活感を出したりといった部分は格段に進化しました。前作は、街中に人っこひとりいないような状況しか作れなかったところもあるので……。技術の進歩もありますが、スタッフが習熟した部分も大きいですね。私が大変なことを言っても、あまり動じなくなりました(笑)。それは頼もしい限りです」
■ジョン・ウーがプロデュース!
本作で何よりも大きい部分は、「男たちの挽歌」「フェイス/オフ」「M:I-2」などで知られるアクション映画のマエストロ、ジョン・ウーがプロデュースを手掛けたことだ。前作を気に入ったジョン・ウー自身が、自らプロデュースを買って出た。
「プロデュースしてくれるといっても、どこまでやってもらえるのか……正直なところ、最初は不安な部分もありました」と監督は製作当時を振り返って話してくれた。
「絵コンテを翻訳して送り、1週間くらいしてジョン・ウーに会い、打合せをしたのですが、せいぜい半日くらいかと思ったら、丸3日かかりました。絵コンテ全部に細かく付箋が貼ってあるのを見て、失礼な話ですが『この人、本気なんだな!』と思いましたね(笑)。もちろん通訳の方を通してはいますが、ほとんど一対一で意見交換ができたことは、非常に手応えがありました」
荒牧監督を含め製作現場は、ジョン・ウーとのコラボレーションというまたとない機会に沸いた。
「“ジョン・ウーを挑発する”と言えばカッコイイですけど、“こうすればジョン・ウーは、こうしろと言ってくるんじゃないかな”という部分はいくつかありましたね。向こうも結構それにのってきたというか(笑)。例えば、向かってくる車を避けるシーンで、最初はただゴロッと避けるだけだったんですが、『こういうところは横っ飛びに避けて、空中でバンバンって撃って、さらにスローモーションだよ!』と言われ、『そうですよね』って(笑)。冒頭の教会の戦闘シーンでも、『ここはジャンプして撃つんだよ!』と指示をいただいて。まさにその通りだと思うんで、楽しくてしょうがなかったですね(笑)」
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