「【愛する者を失った認知症の老人と女性介護士が、殯の森を彷徨う中で生と死を見つめるヒューマンドラマ】」殯の森 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【愛する者を失った認知症の老人と女性介護士が、殯の森を彷徨う中で生と死を見つめるヒューマンドラマ】
ー 河瀨直美監督はジュリエット・ピノシュを迎え描いた「Vision」でも美しき奈良の森を舞台にスピリチュアルな作品世界を展開しているが、今作も然りである。
但し、今作は”生と死を見つめる”という重いテーマ設定になっている。-
■亡き妻、真子の思い出と共に奈良のグループホームで暮らすしげきと、不慮の事故で子供を失った新任介護福祉士の真千子(尾野真千子)。
ぶつかりあいながらも、共に失った者への思いを抱く2人は次第に心を通わせていく。
ある日、彼らはしげきの妻が眠る森へ墓参りに出かけるが、森の中で道を失う。
◆感想
・今作は、可なり難解な作品であると思う。
・真千子が子を失ったシーンも映されないし、多くを観客に委ねている。
・但し、しげきと真千子が道迷いした奈良の森や、茶畑の緑は鮮烈であり印象に残る。
・夜は二人で抱き合いながら暖を取るシーンも良い。”生きてるんだな・・。”
■二人が道迷いになりながら、鉄砲水に会うシーンで、真千子は子を川で亡くしたのだろうと推測出来る。
<二人が、しげきの妻が眠る森で土を掘り、しげきが妻が亡くなってからの日記を積み上げ、真千子にオルゴールを渡し、しげきは掘った穴の中に身を丸くして入るのである。
今作は、生と死の結び目を描いた物語でもある。>
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