劇場公開日 2007年6月16日

「ハリウッド娯楽産業の陰の部分を暴く」ハリウッドランド Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ハリウッド娯楽産業の陰の部分を暴く

2013年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

興奮

知的

難しい

総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )

 人が怪しげな死にかたをしてそこに妻子と別れた貧乏な探偵が捜査に乗り出してくれば、普通はハードボイルドな犯罪作品が出来上がる。だがこの作品は犯罪の謎を解き明かすことが目的ではない。むしろその犯罪を背景にして、ハリウッドという巨大な娯楽産業の陰にある汚れた人間劇に焦点が当たる。一流俳優としての栄光を夢見て奮闘するがあと一つ足りないまま誇りを傷つけられ葛藤する俳優とその恋人、彼との情事を楽しむ大手映画会社重役の妻と権力を持つその夫、そして彼らをとりまく名誉と利益が絡んだ人々の思惑がいろいろと交差する。華やかな世界の一つ裏側にある薄汚いもう一つの厳しい現実社会と、それを描き出すちょっとけだるい演出が上手くて良く出来ている。自殺か、他殺か、彼はなぜ死んだのか、他殺ならば誰がなぜ殺したのか。同じ映画産業界の競合であるMGM社の名誉を傷つけるような作品に挑戦した勇気もたたえたい。ただし犯罪映画として観ると中途半端で虚しさが残りすっきりしない。

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Cape God