「ダンサーが舞うごとく、戦いのシーンに美を感じさせてくれました。」300 スリーハンドレッド 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
ダンサーが舞うごとく、戦いのシーンに美を感じさせてくれました。
く特攻隊をテーマしたのが『300<スリーハンドレッド>』です。しかし、『俺は、君のためにこそ死ににいく』比べてチープな悲壮感、お涙頂戴シーンがなく、全編かっこよく、映像的な様式美にあふれた作品です。
「シン・シティ」のフランク・ミラーによる劇画が原作というだけに歴史考証よりも、ペルシアの大軍勢100万を、手勢わずか300で迎え撃つ痛快さ、意外性をとことん追求したエンタ作品といえるでしょう。実際のテルモピュライの戦いではギリシャ全土から5000名が集結していたと言われております。
そう言う事実よりも。この作品で大切な点は、明らかに勝ち目のない戦いになぜスパルタの男たちは出て行くのか。その理不尽ともいえる一点の展開をいかに観客に納得してもらえるかが鍵であったと思うのです。
そこに日本軍の特攻隊のような犬死にでない大きな目的があり、そのギリシャの大儀に向けての行軍であったことが描かれることによって、ストーリーに説得力が出ていると思えました。
またこういう大規模戦闘の映画では、とかくごちゃごちゃしがちで、大軍団のぶつかり合いのシーンでは何が何だか分からなくなっている作品が多いですね。特に角川監督にもの申したい。「蒼き狼」ではそれがかなりひどかったのです(^^ゞ
その点この作品では、大軍同士の激突でも個々の戦闘をピックアップして描いています。だからスパルタ兵の戦い方が非常によく分かります。この結集戦法なら、どんなに大軍勢でも倒してしまうかなと思えるほど、よく描かれているのです。これを引いて見せても何が何だか分からなくなっていたことでしょう。さらに常に被写体から適度な距離を保って、個々のスピードある動きをよく捉えていました。時折スローモーションも取り入れていることで、かえって速さを感じさせますね。
「映像的な様式美」ということを持つと詳しく言うと、戦闘シーンにおいてジェラルド・バトラーをはじめスパルタ兵士の肉体美が非常に印象的なのです。まるでダンサーが舞うごとく、戦いのシーンに美を感じさせてくれました。でも、スパルタ兵は史実では重装歩兵であったそうなのです。それをあえて上半身裸の軽装に変えたことで肉体美を表現できたことは特筆ものです!
バトラーなんて、「オペラ座の怪人」の怪人役や「Dear フランキー」のニセ父親役を見ていた人なら、この作品のレオニダス王役のムキムキマンぶりが信じられないでしょう。
そんなわけで、腹筋フェチの女性には必見でしょうね。