大統領の陰謀のレビュー・感想・評価
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大スクープの裏にある地道な記者の取材活動、新聞社社幹部の迷い、政府高官によるリークがとてもリアル
アラン・J・パクラ 監督による1976年製作(132分)のアメリカ映画。
原題または英題:All The President's Men、配給:ワーナー・ブラザース映画、劇場公開日:1976年8月7日。
世紀の大スクープということだが、その印象とは異なり、本当に地道な取材の積み重ねで、それだけにリアリティを凄く感じた。他社がどこも追いかけてこずに、ワシトンポスト社の幹部が相手が大物だけに怖気付く展開も、成程実際そうだろうなとは思わされた。
ロバート・レッドフォード自身がこの原作の映画化権を45万ドルで購入したとのことだが、新入り記者で熱意は強いが、文章力は大したことがないボブ・ウッドワードを彼が好演。カッコ良さを極力抑えようとしていたところが、なかなか良かった。
先輩記者で優れた文章力を有するカール・バースタインを演じたダスティン・ホフマンも、さすがの演技力なのか優れた記者らしくて、とても良かった。
ウッドワードとコンタクトを取るディープ・スロートなる人物の本スクープにおける役割がとても大きくて驚かされた。会い方も含めて忠実に実際に即し、誇張も無いらしい。そして、事件から35年後の2005年、当時FBI副長官だったマーク・フェルトがディープスロートであったことを公表。大統領官邸が関与という事実そのものが何より劇的で、この映画で描かれた内容もも実に面白いとは思わされた。
そして、この事件で名を挙げたウッドワードが、歴代政権の報道に長期的に関与し、最近でもトランプ政権の内幕を描いた著作などでジャーナリストとして活躍していることにも感慨を覚えた。
監督アラン・J・パクラ、製作ウォルター・コブレンツ、原作カール・バーン、スタイン ボブ・ウッドワード、脚本ウィリアム・ゴールドマン、撮影ゴードン・ウィリス、美術ジョージ・ジェンキンス、編集ロバート・L・ウォルフ、音楽デビッド・シャイア。
出演
カール・バーンスタインダスティン・ホフマン、ボブ・ウッドワードロバート・レッドフォード、ハリー・ローゼンフェルドジャック・ウォーデン、ハワード・シモンズマーティン・バルサム、ディープ・スロートハル・ホルブルック、ベン・ブラッドリージェイソン・ロバーズ、ジェーン・アレクサンダー、デビー・スローンメレディス・バクスター、ダーディスネッド・ビーティ、ヒュー・スローンスティーブン・コリンズ、ペニー・フラー、ジョン・マクマーティン、ロバート・ウォーデン、フランク・ウィルス、F・マーレイ・エイブラハム、リンゼイ・クローズ。
大局を見失うな
ワシントン・ポスト紙の新米記者ウッドワードをロバート・レッドフォードが、同僚のベテラン記者バーンスタインをダスティン・ホフマンが演じる。
次々と関係者に電話で取材を進めるウッドワードのアップ( 画面全体の半分位 )映像が続いたが、自然体で演じるロバート・レッドフォードは、なかなかに魅力的でした(笑)
新聞記者視点で描かれており、スリリングな展開にラスト迄引き込まれた。
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕版)
Just follow the money. 個人情報駄々漏れ
有名だからという理由で午前10時の映画祭で観賞しました。うーん、長いし、たいして盛り上がらないしで観ててしんどかったです。
話の作りがウォーターゲート事件を知ってる事前提なんですよね、この作品って。ウォーターゲート事件って盗聴してたのがバレてニクソン大統領の辞任に繋がったぐらいの記憶しかなかったので、本作はハードルが高かったです。もうけっこう置いてけぼりで、「この人達は今いったい何やってんだろう?」ってな感じになりました。この作品はその時代に観るから楽しめる系のヤツで、今観ると厳しい物がありました。古い映画でも今観ても面白い物もあるんですけど、本作は違ったみたいです。「ペンタゴン・ペーパー」はあんなに面白かったのになぁ。
でも当時って簡単に名簿手に入れたりしてて個人情報って駄々漏れだったんですね。しかもあんな感じで新聞記者とか突然やって来たら今なら追い返す事でしょう。絶対家に招き入れたりしない。ある意味スゴい時代だなぁ。
今ではしわくちゃなイメージのロバート・レッドフォードにシワがない!ダスティン・ホフマンにもシワがない!今のおじいちゃん俳優の若かりし頃を見るのはちょっと面白いですね。でも他に大して見る所のない作品でした。
Non-denial denial
Watergate事件が発覚した1972年6月以来追い続けてきた新聞記者2人の取材過程を、彼らの著書を元に描いた作品。
1976年公開ですから、当時の米国内ではホットな話題だったでしょう。再選されたニクソン大統領が1973年1月に宣誓する日までの過程であり、映画のエンディングとしては物足らなさも感じますが、この事件が世間の注目を集める以前の事態を描いており、当時は大統領を辞任にまで追い込んだスキャンダルの発端に関心が高まっていたのだと思います。
極めて多くの人間が関わっているため、次々と名前が挙げられますが、何故その人に辿り着いたのかという詳細を省く所も多々あり、付いていくには知識を要します。
当時はまだ”Deep Throat”の正体が不明でした。情報源から会話のアヤとも取れるやり取りを重ねることで推測を裏付けていく記者の作業。地道な報道により政治を正した新聞社の活躍によって、この頃ジャーナリズムの職を希望する人材が増したとのこと。
映画のシーンとしては、Redford演じるWoodwardが電話取材中、奥で職員達がテレビのニュースに動き回り、段々とカメラが彼に近づいていく長回しが上手いと思いました。
担当していたWoodwardとBernsteinがBen Bradleeにより”Woodstein”と略されている所も面白いです。
“The Post”でMeryl Streepが演じた社主は名前でしか触れられません。しかもMitchellによる彼女に対するセクハラ発言(^_^;)。
偽装された手紙の真実も、女性記者(へ)の色仕掛けを匂わせていました。偽装よりも浮気を疑われることで、Clawsonがペットの犬と猫まで心配している辺りがちょっと笑えます(^^)。
取材は、落ち葉から枝を特定し、大木の根元まで辿るような作業。隠蔽工作を画策する者の目的は、その上位の/根幹にいる者を疑惑の目から守ること。つまりは、隠蔽工作が明らかになった時点で、上に立つ者は極めて疑わしく、責任は免れないということ。
時事問題を考える上で教訓を与えてくれる歴史的事件でした。
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