大学は出たけれど(1929)のレビュー・感想・評価
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サンデー毎日
初めてのサイレント映画の鑑賞。とはいっても本作は現存するフイルムが11分のみとのこと。
1929年ということは、世界恐慌の始まる前後だろうか。ハロルド・ロイドの映画のポルターに、キャメルの煙草、英語がそこかしこに溢れているのが面白い。
主人公は地方の名家の出なのだろう。大学を出てスリーピースを着込み、腕時計も持っている。母と一緒に田舎から許嫁らしき女性も上京してくる。プライドが邪魔して就職が決まらない男にかわり、女給としてカフェで働く許嫁。我が身を省みて改心する男。今のドラマなら絶対にここで話を腐らせてしまうが、この時代は話が早く清々しい。
残り60分でどんな展開があったかは分からないが、晴天のもと駆けていく田中絹代の姿は、とても朗らかで軽やかで良い終わり方だった。
話が進むにつれ、高田稔と田中絹代の表情がどんどん良くなっていく。サイレントであることを忘れてしまいそうになる。全編をとても見たくなった。
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