大学は出たけれど(1929)
劇場公開日:1929年9月6日
劇場公開日:1929年9月6日
■大学を卒業したものの、就職先が見つからないままの青年。
就職活動に行くが、受付ならと言われて、憤慨して帰る。
上京して来た故郷の母親には就職したと嘘をつき、それを信じた母親は婚約者を連れて上京してくる。
2人に本当のことを言えずにいた青年だったが、彼のうそを見抜いた婚約者はひそかにカフェで働き始めるのである。
◆感想
・登場人物は、皆、善人である。が、矢張り婚約者の聡明さが引き立っている。
・青年は婚約者が、カフェで働いている事に怒るが、自分は職に付けていないのだから、本末転倒である。だが、婚約者は笑顔である。
・青年は、自らのツマラナイプライドを反省し、もう一度就職活動に行き、受付でも何でもやります!と言い、その熱意を買った会社に採用されるのである。
<今作は、就職難だったと言われる、昭和初期の時代背景が色濃く反映された、サイレント・コメディである。センスあるなあ。>
初めてのサイレント映画の鑑賞。とはいっても本作は現存するフイルムが11分のみとのこと。
1929年ということは、世界恐慌の始まる前後だろうか。ハロルド・ロイドの映画のポルターに、キャメルの煙草、英語がそこかしこに溢れているのが面白い。
主人公は地方の名家の出なのだろう。大学を出てスリーピースを着込み、腕時計も持っている。母と一緒に田舎から許嫁らしき女性も上京してくる。プライドが邪魔して就職が決まらない男にかわり、女給としてカフェで働く許嫁。我が身を省みて改心する男。今のドラマなら絶対にここで話を腐らせてしまうが、この時代は話が早く清々しい。
残り60分でどんな展開があったかは分からないが、晴天のもと駆けていく田中絹代の姿は、とても朗らかで軽やかで良い終わり方だった。
話が進むにつれ、高田稔と田中絹代の表情がどんどん良くなっていく。サイレントであることを忘れてしまいそうになる。全編をとても見たくなった。