「インディ・ジョーンズ 家族珍道中で未知との遭遇」インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
インディ・ジョーンズ 家族珍道中で未知との遭遇
最新作前に、シリーズ再見。
『~最後の聖戦』から実に19年ぶりとなる、2008年の4作目。
私のインディ初劇場鑑賞。
前3作は(当時)VHSなどで何度も見ていて、初めて劇場で観るインディを首を長くして待った。
私が映画にどっぷり浸かるようになった高校生時代くらい(1997年~1999年辺り)から新作製作の話が流れ、公開時期や新たなキャストが浮かんでは消えたのは幾度だった事か。
ようやく出発したインディ新たな冒険と秘宝は…
謎の力を秘めた“水晶髑髏(クリスタル・スカル)”。
それを幻の黄金都市“エル・ドラド”に戻せば、その力が宿る。
狙うはナチス…じゃなくて、ソ連のKGB。1957年、東西冷戦。政治的対立も絡み、あの頃とは敵も時代も変わった。
謎の“クリスタル・スカル”を巡って繰り広げられる冒険と争奪戦…。
この時66歳だったハリソン。
初老ながらも魅せる身体を張ったアクション。シリーズ名物、屈強な敵との格闘も。
アクションの最大の見せ場は、ジャングルでのカーチェイス。相手の車に乗り移って乗り移って、断崖絶壁のスリル。車上で剣を付き合わせ、猿やツタをスイングしてのターザン・ジャンプ。
コミカルなアクションも多い。序盤、勤める大学内でのバイク・チェイスも。
そんなアクション・シーンでハリソン共々身体を張るのは、今回の相棒。
シャイア・ラブーフ演じる青年、マット。
革ジャンにバイク、ポマード付けたヘアスタイルの“50年代ジェームズ・ディーン風”。
イケイケな若者ながら、初めての闘いや虫などにちょいビビり腰。
彼の母親がかつてインディと親しい仲。その母親というのが…、
第1作目のヒロイン、マリオン。カレン・アレンがカムバック。登場時、1作目を彷彿させる「インディアナ・ジョーンズ」の言い回しやジャングル・チェイスで運転奮闘。
1作目オマージュでは、あの“聖櫃”が一瞬…。
1作目の後、結婚する筈だったインディとマリオン。が、土壇場で逃げたインディ。その時マリオンは妊娠していて…。
そう。マットの本名は“ヘンリー・ジョーンズ3世”。インディの息子!
所々それを思わせる描写も。敵を振り切って笑うマットにブスッとした表情のインディ。これ、『~最後の聖戦』でのヘンリーとインディのやり取りのワンシーン。
息子と分かると、「ジュニア」と。対して「ジュニアと呼ぶな」。これなんかまさに。
大学を辞めたマットに、当初インディは「自分の好きな道を行け」。が、息子と分かると、「大学を辞めるな!」。途端に親心。
インディ、マリオン、マットの家族珍道中。
他旅の仲間に、インディとは古い友人の考古学者、オックス。“クリスタル・スカル”の影響で気が触れ、訳の分からない言葉を繰り返すが、彼が謎を解く鍵。ジョン・ハートが妙演。
当初オックスの役所はヘンリーに当てられる予定だったが、ショーン・コネリーがすでに引退していた為再演叶わず。(ヘンリーの役が大変お気に入りだったコネリーは復帰を真剣に悩んだという)
その為、ヘンリーは他界した設定に。インディの机に父の遺影。それを見つめるインディの眼差し…。
学部長マーカス役のデンホルム・エリオットはすでに故人で、ジム・ブロードベントが新たな学部長に。インディがKGBにマークされた事で事実上の解雇を告げるが、本人も職を辞し…。
以上がインディの仲間側。
敵対するのは…
インディと幾度も危機を経験し、頼れる相棒と思っていたマック。借金でKGBに寝返り。…いや、二重スパイ? …いや、本当は?
そして立ち塞がる最大の敵は、ソ連軍大佐でKGBエージェントのイリーナ。
格闘や剣術に長け、超能力を求め“クリスタル・スカル”とその不思議な力を執拗に狙う。
おかっぱ頭で、ロシア人を非ロシア人が演じる今でなら“ホワイト・ウォッシング”だが、そこはケイト・ブランシェットがインパクト充分に巧演&怪演。
ケイト自身もシリーズのファンだったという。が、周りの女性がインディとキスしたいと思う中、ケイトは“インディになりたかった”。それは叶わなかったが、敵としてインディを窮地に追い詰める。
何せ19年ぶりの新作。待ちに待ったファンの期待は凄まじいもの。
暗く思いシリアス作品が続き、スピルバーグも久々の娯楽作を楽しんで撮ったかのよう。
エンタメ性とサービス精神はたっぷり。
勿論充分楽しめたが、前3作ほどでは…。ちょっと気になる点も…。
“核の冷蔵庫”と揶揄される冒頭シーン。核実験場に紛れ込んでしまい、寸での所で鉛製冷蔵庫に入って難を免れる。巨大なキノコ雲も目撃。核爆発を冷蔵庫で凌ぐ…? あんな至近距離でキノコ雲を…? ハリウッド映画によくある核へのお粗末描写…。やられた側は忘れないが、やった側はその恐ろしさを知らない。
序盤の保管倉庫や“クリスタル・スカル”からも薄々分かる通り、宇宙人絡み。
ルーカスは50年代B級SFへのオマージュとして作るも、当初スピルバーグやハリソンは反対。脚本は何度も練られ(M・ナイト・シャマランやフランク・ダラボンも携わった)、今の形に。でも結局、最後はもろSF。宇宙人やUFOまで出るし…。
何か前3作までの毛色とは違う…。オカルト的な超常現象ミステリーの線を越えて欲しくなかったかな…。
まあでも、個人的インディ初劇場は楽しんだ。
ラストシーンはインディとマリオンの結婚式。
インディも遂に身を納める…? あの帽子を被るは、マット…?
…いやいや、まだまだ!
15年ぶり、最後の冒険へ!