インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 : インタビュー
ついに日本公開を迎える「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」のキーパーソンたちにインタビュー。まずは、この人なくしてインディ・ジョーンズはありえないハリソン・フォードに、19年ぶりに“インディ”になった感想を聞いた。(取材・文:小西未来)
ハリソン・フォード インタビュー
「20年前の衣裳をきちんと着こなすことができて、とても嬉しかった」
――それにしても、第4弾の製作までにずいぶん時間がかかりましたね。具体的に、いつ企画がスタートしたのですか?
「第4弾をやることでみんなの意見が一致したのが、今からだいたい12年前だ。でも、みんな他の映画で忙しかったせいで、ぼくとジョージ(・ルーカス)とスティーブン(・スピルバーグ)の3人がそろって満足できる脚本に仕上げるまでに、ずいぶんと時間がかかってしまった。ただ、脚本が何度となくリライトされるなかでも、あるアイデアだけは初稿のころからずっと残っていて、最近になってようやくそのアイデアを十全に生かすだけの質を伴ったシナリオが完成した。それで、『さあ、やろうぜ!』となったわけなんだ」
――今となっては、インディ・ジョーンズ像は確立されていますが、第1作である「レイダース」をやる前、参考にした映画やキャラクターはいるのでしょうか?
「衣装合わせで、はじめてあの革ジャンと帽子と鞭を揃えたときに、全てがしっくりしたんだ。キャラクター設定についても、脚本にしっかり書き込まれていたしね。ぼくがとくに気に入ったのは彼の倫理感だ。彼は冒険や謎解きが好きだけど、盗賊じゃない。考古学の講師であり、歴史・文化の研究者だ。ときどき、止むを得ない事情から拝借することはあるけれど、貴重な遺品は美術館に納めるべきだと考えているし、そのために戦う、という。最初からすべてが書き込まれていたから、他の映画にインスピレーションを求める必要なんてなかったよ」
――今回の衣装は、新たに作り直したのでしょうか?
「全く同じだよ。20年前のぼくの体型に合わせて作ったものだから、今回、それをきちんと着こなすことができて、とても嬉しかった。体型が変わっていない、ということだからね」
――久しぶりの現場はいかがでしたか?
「最高の経験だったよ。これまでの出演者やクルーに加えて、新たな才能がたくさん参加してくれた。スピルバーグ映画の現場は、役者からケータリング係に至るまで、全てが超一流なんだ。だから、毎日セットに行くのが楽しくてしかたがなかった。天才的な撮影監督のヤヌス・カミンスキーから、ケイト・ブランシェット、レイ・ウィンストン、ジョン・ハート、ジム・ブロードベンドといった超一流の俳優陣。シャイア・ラブーフにしても、演技の能力はもちろん、彼の年齢では信じられないほどの知性を持ち合わせている。これほど素晴らしい現場は、これまでのキャリアでも初めてだったよ」
――シャイア・ラブーフになにか助言しましたか?
「そんな僭越なマネはしないよ。彼は7歳のころから演技をやっているわけで、実力も経験も十分すぎるほどある。ぼくらはあくまで対等の役者として話し合い、一緒にシーンを作っていっただけだよ」
――シャイア・ラブーフにとって憧れの俳優はあなたただそうですが、あなた自身には憧れの俳優はいましたか?
「実は、この業界に入るまでは、俳優にあまり注目していなかったんだ。映画もそれほど見ていたわけではなかったし。強いて言うなら、エイブラハム・リンカーン大統領がぼくのヒーローだったよ」