劇場公開日 2007年7月20日

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 : インタビュー

2007年7月19日更新

全7作のシリーズもいよいよ5作目を迎えた最新作「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」のデビッド・イェーツ監督に、映画評論家の森山京子がインタビュー。世界的人気シリーズを委ねられた、その心境は?(森山京子)

デビッド・イェーツ監督インタビュー
「こんな素晴らしい世界に惹かれずにいるなんて無理だよね」

一躍注目を浴びるデビッド・イェーツ監督 実はスピルバーグの大ファン
一躍注目を浴びるデビッド・イェーツ監督 実はスピルバーグの大ファン

「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の監督に抜擢されたデビッド・イェーツはTV界出身。世界的な人気シリーズでいきなり映画監督デビューしたラッキー・ガイだ。

「監督を依頼された時は驚いた。僕が一番最後に手がけたドラマ『セックス・トラフィック』は、ヨーロッパのセックス産業における女性の人身売買を扱ったすごく生々しい作品なんだ。プロデューサーがそれを見て僕に監督を依頼してきたと聞いて、面白い!と思った(笑)。彼らの冒険心は最高だ。でもそのときは原作を1冊も読んでいなかったから、慌てたよ(笑)」

送られてきた「不死鳥の騎士団」を20ページまで読んだところで虜になったと言う。「面白いしマジカルだし、エキサイティングでなおかつダークだ。こんな素晴らしい世界に惹かれずにいるなんて無理だよね。もちろんその後で6話まで読破したよ。5年遅れて、ようやくみんなに追いついたというわけさ」

1作ごとに監督が替わる「ハリポタ」では、シリーズのテイストを損なわずに監督自身の持ち味をどう出すかがチャレンジのポイントだ。

ハリーの感情的な表現が掘り下げられた
ハリーの感情的な表現が掘り下げられた

「第5話は、これまでで最もエモーショナルな作品だと思う。ハリーはとてつもない孤独を味わい、別れの悲しさを体験するわけだからね。僕としては、これまでみんながこのシリーズを愛してきたポイントを全て継承しつつ、なおかつ、ハリーの成長が感じられるものにしたかった。ハリーの感情をより深く、より真実みを持たせて描くように心がけた」

こと「ハリポタ」に関しては、監督よりダニエル・ラドクリフのほうが先輩。ダニエルがいかにハリーの複雑な部分まで把握しているか、驚かされることもしばしばだったという。

「ダンはとても頭が良くて勘も鋭い。感性が豊かなんだよ。前回でハリーはセドリックの死を体験したわけだけど、心理学者を呼んで、そのような惨事を体験した人がどういう反応を見せるか話してもらった。ダンはその話から多くの事を学んでくれたし、ハリーの孤独感やフラストレーションについても驚くほど深く理解している」

監督にも頭がいいと言わしめるD・ラドクリフ
監督にも頭がいいと言わしめるD・ラドクリフ

エモーショナルの面では、ハリーのファースト・キスと失恋も話題だ。

「キスのシーンは16テイクも撮って、ま、当然のことながら回を重ねるごとに上手くなったよ(笑)。1作目から5年間一緒に仕事してきたスタッフが、みんなモニターの周りに集まってね、まるで自分の子供のファースト・キスを見るように涙ぐんでいた。すごく感動的だったよ」

特撮を使うのは初めてだが「全然不安はなかった。僕は視覚効果が大好きだし、特撮は監督としてマスターしていかなくちゃいけないもののひとつだからね。それにこのシリーズは予算が大きいから、出来ないことは何もないんだ(笑)。すごいよね」

VFX満載の戦闘シーンは迫力満点
VFX満載の戦闘シーンは迫力満点

というイェーツ監督。それもそのはず、彼はスピルバーグの大ファンなのだ。

「15歳の時に『ジョーズ』を見てはまってしまって、27回も見てしまった。10回目以降は一番後ろに座って、スピルバーグが観客を どうやって驚かせ、楽しませるかを観察していた。そして、これが僕のやりたい仕事だと実感したんだ。『ジョーズ』を見て、映画監督になろうと決めたんだよ」

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