劇場公開日 1981年

「フライヤーのキャッチコピーで大損をしている映画」ダーク・スター 野球十兵衛さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5フライヤーのキャッチコピーで大損をしている映画

2022年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この映画、フライヤーのキャッチコピーで大損をしていると思うの。
だって
「伝説の爆笑カルトSF映画、ついに発つ!」ですもん。
決して爆笑するシーンなんてないの。ダダすべりの件ならあるっちゃぁあるんですが(笑)
むしろ『エイリアン』に近いスリラー系の怖さ満点なの。

話は飛びますが私、実は『スターウォーズ』だったり、『スタートレック』だったりが食わず嫌いだったりするのですね。
宇宙って、決してあんなに賑やかな場所なんかじゃないって思っているから。
その点、この作品は、私の思う宇宙を存分に描いてくれていたです。

ただ暗くて広くて寒くて怖い。そんな場所。それこそが宇宙、みたいな。
「爆笑」云々の点は、きっとあの“風船”が戦犯だと思うの。
アレのドタバタを除けばこの映画、完全にスリラーだよ。
爆弾や宇宙船のAIの無機質だけれど、ウィットに富んだやり取りも「爆笑」って見なされちゃっているのかな?
あれ、めっちゃ怖いじゃん!どこが爆笑だよ!誰がそんなこと書いちゃったんだよ!
ラストのカントリーミュージックに乗ったサーフィンも「爆笑」の謳い文句を誘発してるっぽいけれど、あれは絶望の最期を飾るに相応しい、唯一の希望だったと思うの。
そうでも考えなきゃ、やりきれなさすぎるラストだったと思うの。
ほんっと怖い映画なのに。
ほんっとに大損してる。

ちなみに監督は、私ベスト映画の『ニューヨーク1997』のジョン・カーペンター。
お金を持たせるとロクでもない作品しか撮らないくせに、予算に手かせ足かせを付ければ、最高の映画を撮っちゃう不思議な監督さんなのね。

野球十兵衛、