氷の接吻のレビュー・感想・評価
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ストーカー映画?
金持ち男に取り入って殺人を繰り返し、そのたびに髪形や人格を変える魔性の女ジョアンナ(アシュレイ・ジャッド)とそれを追う英国情報局員アイ(ユアン・マクレガー)の良く言えばサスペンス風ロードムービーだが本音で言えば妙なストーカー映画。
まあ、魔性の女が見どころなのか、シャローン・ストーンの「氷の微笑」に勝手便乗した邦題ですね。
「シャレード(1963)」の原作者でもあるMarc Behm の小説Eye of the Beholderに基づいた映画で、1983年にフランスでも映画化(死への逃避行)されている、この時はアイは私立探偵でした。
本作では諜報員の設定ですが007を期待するとがっかりです、真っ赤なブルゾンで尾行するなど馬鹿丸出しですからね。
それよりアイとジョアンナの関係がミステリアス、犯人と追跡者の立場の筈がいつのまにか庇護者に転じる。
それが男女の恋なのか、生い立ちを知っての憐憫なのか・・。
娘の幻想を度々映すし、娘に疎遠だった父親の喪失感からなのだろうが、この辺の感覚に感情移入できないと違和感ばかりで難解なだけのストーカー映画になってしまいます。
おそらく二人のしがらみだけでは弱いと思ったのでしょう、退屈さを紛らわすためにアメリカ各地を転々とさせ、子供へのお土産の定番のスノーボールを映して父親心理をくすぐります。
そうかと思えば必然性のない入浴シーン、壁伝いに撫でまわす様子はただのエロ爺いですよね。作る方にキャラクター設定の迷いがあるから意味不明の映画になってしまう典型例でしょう。
娘の幻
娘ルーシーの幻が常に話し相手。古めかしい鞄にハイテク機器。精神を病んだハイテクオタク・ストーカースパイといったところだろうか。ジタンと星座のペンダント、各土地の土産、かつらといった小物の伏線もある。
途中から娘の幻が現れなくなったので、結末はもしかすると『シックスセンス』のパターンになるのではないかと悪い予感もしたのだが、それはなかった(笑)。生き別れた娘とダブらせてジョアナに惹かれていくのは良いのだが、結局は娘として見ていたのか魅力的な女として見ていたのかがよくわからず、観客の判断に委ねられたというところなんでしょうね。
それにしても邦題の意味は何なのだろうか・・・まさかラストシーンから?
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