「生きるって切ない」マグノリア BECKさんの映画レビュー(感想・評価)
生きるって切ない
もう何度も観た大好きな作品です。
人はそれぞれの人生を、喘ぎながらも必死で生きている。生きるって何て切ないのだろう。
監督のP.T.アンダーソンはそんな人々の人生の断片を、少し距離を置きながらも突き放すことなく、慈悲深い目線で描き出す。そして人生の主役は自分自身なのだ、ということを痛感させられる。
ラストの非現実的な出来事は、登場人物たちにとって、逃れられない全ての苦悩から解放される救いであると共に、観客にもある種の浄化作用をもたらす。
この作品以前に同様の群像劇で構成された巨匠ロバート・アルトマンの「ショートカッツ」があるが、ここでもラストは天変地異により締めくくられている。アルトマンの崇拝者であったアンダーソンはこの作品にインスパイアされた事は想像に難くない。
全ての映画にオチやメッセージや教訓を求める方には消化不良の作品だと思う。そんな事に捉われず、登場人物それぞれの切実な人生に共感しながら鑑賞する作品です。
コメントする