「【人間の善性と悪性そして罪と罰をファンタジー要素も取り入れて描いたヒューマン・ドラマの忘れ難き逸品。今作は、人間の喜怒哀楽全ての感情を揺さぶる見応え十二分の作品なのである。】」グリーンマイル NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【人間の善性と悪性そして罪と罰をファンタジー要素も取り入れて描いたヒューマン・ドラマの忘れ難き逸品。今作は、人間の喜怒哀楽全ての感情を揺さぶる見応え十二分の作品なのである。】
ー 久方振りに鑑賞したが、矢張り実に面白い。人間の喜怒哀楽を全て盛り込んでいるからである。
又、物語構成もトム・ハンクス演じた看守ポールの老年期から始まり、死刑囚収容所、グリーンマイルで起こった数々の物語をメインに、最後は再び老年期に戻るというモノでそこで、キッチリと人間の善性と悪性そして罪と罰を描き切っている点であろう。ー
■これだけの作品であるので、内容は割愛。だが、久方ぶりに見ても涙腺が緩んだところと、印象的なシーンを記す。<Caution!内容に触れています。>
・尿道感染症に苦しむ看守ポールが勤めるグリーンマイルに、ある日黒人の大男、ジョンが死刑囚としてやって来る。だが、彼は暗闇を恐れ乍らも人の苦しみを取り除く特殊能力を発揮する。
- あのシーンは、昔見た際には驚いたモノだ。-
・囚人デルが可愛がっていた、芸達者なネズミ、ミスタージングルズを無残にも踏みつぶした矢鱈コネを振り翳す新任看守パーシーの虫唾が走る行為の数々も、驚く程覚えている。
- パーシーがデルの処刑をワザと手順通りに行わなかったために、(頭に乗せるスポンジに水を浸さなかった。デルは電流が巧く流れずに焼け焦げてしまうシーン。
今作ではパーシーは、ビル(サム・ロックウェル:初見時には分からず。)と並んで人間の悪性の代表として描かれている。-
■グリーンマイルのハル所長の妻メリンダは、重い腫瘍に侵されていたが、或る晩、ポール達がジョンを連れてやって来る。(その際に、ジョンはビルに腕を掴まれ、彼が犯した自らが死刑囚になった事件を、観るのである。)
そして、ジョンは悪態をつくメリンダにそっと近づき、彼女の口から”悪いモノ”を吸い上げるシーン。メリンダはその後、別人の様に優しい言葉と自らの銀のペンダントをジョンに与えるのである。ここは沁みたなあ。
ジョンはいつものように、”悪いモノ”を吐き出さずに刑務所に戻る。
そして、牢の前を通りかかったパーシーを捕まえ、彼の口の中に”悪いモノ”を吐き出すのである。パーシーはビルを撃ち殺し、自らも魂が抜けたようになり、精神病院に入れられるのである。正に”罪と罰”である。
・ジョンの処刑シーンは観ていてキツイ。ポール達看守は脱走を勧めるが、ジョンは”世の中には悲惨な事が多すぎる。もう疲れたんだ・・。”と言って自ら電気椅子に座るのである。
・その後、物語はポールの老年期に戻る。
そして、ポールは仲良しの女性マーガレットを山小屋に連れて行く。そこにはナント芸達者なネズミ、ミスタージングルズが元気に走り回っており、ポールも彼女に”私は108歳なんだ”と告げるのである。
ー ジョンの不思議な力の恩恵を受けたモノは、不死ではないが長生きをする、とポールは語り、”それが、ジョンを救えなかった私に対する罰なのです。”とマーガレットに話すのである。-
<今作は、単純なヒューマンドラマではない。
人間の善性や悪性、そして罪と罰をファンタジー要素を絡めて描いた、見応え十二分の作品なのである。>