「キング&ダラボンコンビ再び。 あんたら暗すぎるって〜…🌀」グリーンマイル たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
キング&ダラボンコンビ再び。 あんたら暗すぎるって〜…🌀
触れるだけで怪我や病を治してしまうという不思議な力を持った死刑囚と看守主任との交流を描いたヒューマン・ドラマ。
監督/製作/脚本は『ショーシャンクの空に』や『プライベート・ライアン』(脚本)のフランク・ダラボン。
原作小説を執筆したのは『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』のスティーヴン・キング。
主人公である看守主任ポールを演じるのは『フォレスト・ガンプ』『プライベート・ライアン』の、レジェンド俳優トム・ハンクス。
死刑囚ワイルド・ビルを演じるのは『イン・ザ・スープ』『ギャラクシー・クエスト』の、後のオスカー俳優サム・ロックウェル。
第5回 放送映画批評家協会賞において、脚色賞を受賞!
少年時代の自分に、強烈なトラウマを植え付けた作品。
トラウマ払拭のため今一度鑑賞することにしました。
ダラボン×キングという『ショーシャンクの空に』と同じ組み合わせながら、込められたテーマやメッセージ性は全く違う。というか、真逆といってもいいくらい。
正直言うと、暗すぎて全然好きになれない作品…😅
「現実はクソみたいなことが多すぎるから、死んだ方がマシ」と思っているキャラクターが、特に考えを変えるわけでもなく本当に死を選んじゃうという希望のないオチ。
長寿を得た主人公も「愛する人たちは皆死んだ…俺も早く死なないかなぁ😮💨」なんて言ってる始末。徹頭徹尾暗いんだよっ!!
ランタイムも188分はいくらなんでも長すぎると思います。
ホラー映画畑出身のフランク・ダラボンが監督をしているだけあり、ヒューマンドラマでありながらハラハラドキドキする場面が多く退屈はしませんが、やっぱり3時間越えはしんどいです。
主人公は使命感があり、人が良く、ちょっとコミカルな中年男。まさにトム・ハンクスのために有るようなキャラクターですね。
子供の頃はトム・ハンクスがおちんちんを抑えて悶絶するところはギャグだと思っていましたが、ある程度年齢を重ねた結果、あの描写の恐ろしさがわかるようになりました。
悶絶するトム・ハンクスの表情が絶妙です。股間を膝蹴りされたシーンなんて、あまりにも痛みが伝わってきて、真面に見ていられなかった😱
看守仲間の同僚たちは皆良い人で、親しみが持てました。
犯罪者に刑罰を与える立場にある看守や死刑執行人には、市井の人以上のモラルの高さが必要なはず。彼らはそれを象徴する人物として描かれており、その魅力が物語への求心力を強めていました。
彼らがいるからこそ、この映画が長尺ながらも退屈なものにはなっていない。魅力的な脇役の重要性を改めて認識しました。
そんな看守たちの中に紛れ込む本作一番の憎まれ役パーシー。映画史上に残るクソ野郎。余りにクソ過ぎて見ていて気分が悪くなります💢
悪役キャラだということを考えればこの人物描写は大正解。こいつを好きになるやついないでしょう。
とはいえ、あまりに胸糞が悪すぎてモヤモヤしてしまうというのもまた事実。悲惨なラストを迎えますが、正直こいつのやったことを考えればこの末路は生ぬるい。
もっと凄惨な罰を与えないと、観客としてはあんまり気持ち良くならないっすね。
パーシーによって可哀想なことになるおっさんデル。彼の最期は自分を含む多くの観客のトラウマになったことだと思います。
……でも、冷静になって考えてみると、彼は本物の死刑囚なんだよね。
作中、デルはただのネズミ好きのオッさんぽく描かれています。これ、彼が過去にどんな犯罪を犯したのかが描かれていないというのはちょっとフェアじゃないような気がします。
デルの過去を明らかにした上で、彼とMr.ジングルス🐀との交流を描き、その結果自らの犯した罪を悔いる様になる。そしてあの最期…😢
こういう流れにした方が感動的だし、映画的だと思います。パーシーに対するヘイトもより高まるしね。
…ちょっと野暮なこと言うけど、あんなに苦しんでいるなら、電気止めて銃殺にでもしてあげた方が良かったんでない?ダメなの?
いやしかし、Mr.ジングルスって素晴らしいキャラクターですよね😊
アニマトロニクスも一部使っているようですが、大部分は本物のネズミを使って撮影したらしいじゃないっすか!
それだからこそ出る圧倒的なリアリティ。本物のネズミにあれだけの演技をさせたというのは凄いよなぁ…✨
さて、本作のもう一人の主人公であるジョン・コーフィー。奇跡を起こすことができる巨漢の黒人。
ジーザス・キリストと頭文字が同じなんですねぇ。まあだからなんなんだ、ということですけど。
この「奇跡」というファンタジーがどうしても映画全体の雰囲気に合っていないような気がする。
正直、このJCというキャラクターが居なくても十分物語は展開出来ると思うんです。実際、開始から2時間くらいはグリーンマイルの看守と囚人、Mr.ジングルスの3点によって物語が展開しているわけですからね。
このように死刑囚・看守・ネズミが織りなす人間ドラマにしてしまう、もしくはJCとトム・ハンクスだけに焦点を絞って物語を展開する、このどちらかにした方が映画全体の纏まりは良くなっただろうし、ランタイムもグッと短くなったはず。
両方ともやろうとした結果、ファンタジーなのかヒューマン・ドラマなのかわからない、どっちつかずな印象の映画になってしまっているように思います。
JCが死刑宣告される原因となった真犯人が同じ独房にいるというのもちょっと出来過ぎてるよなあと思うし、真犯人の末路もそれ?っていう感じ。
どちらにしろ真犯人は死刑になるんだし、それって罰なのか?もうちょっとなんとかならなかったのか?
そして、やはり全体を覆うテーマが暗すぎる。
クソみたいな世界だけど、それでも一欠片の希望は残されているんだ、というテーマ性を押し出して映画を作って欲しかった。
3時間も映画に付き合って結局あの救いのないエンドはやっぱり疲れます。
フランク・ダラボンらしい骨太な映画ですが、やっぱり好きにはなれないな💦
※江原正士さんボイスで喋るトム・ハンクスを観たかったので、日本語吹替版で鑑賞。
やっぱり江原さん上手いなぁ。ご存命の声優さんの中ではトップクラスの演技力だと思います✨