劇場公開日 2000年5月13日

映画史 : 映画評論・批評

2000年5月15日更新

2000年5月13日よりユーロスペースにてロードショー

ゴダールの膨大な映画の旅

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ゴダールは、映画の3要素を、「撮影」「編集」「上映」なのだと定義している。そしてそれらは、「見ること」「思考」「提示」という風に置き換えられるのだと、ゴダールは語る。

「映画史」と題された、合計4時間30分にも及ぶビデオ長編は、その3要素のうちの、主に「編集」に焦点が当てられているようでもある。

なにしろこの作品のために新たに撮影されたのは、おそらく全体の1/4程度である。残りの3/4は、名作映画の数々、戦時中のニュース・フィルム、そしてポルノ・フィルム、宗教画、絵画、写 真などなどによって占められている。それらの素材が次々にカットアップ&リミックスされていくのだが、そのスピードと多様性によって、我々は一瞬、思考を失い、全身が目と耳になってしまう。つまり「見ること」の現場へと、送り込まれるのである。思考が始まるのはその後のことである。我々は断片化されたさまざまな素材の記憶を手繰り、我々だけの「映画史」を作り上げることになるだろう。そしてそれを誰かに語るとき、映画の3要素が完結する。つまり「映画史」は、我々を映画の運動そのものへと変容させる。そのとき初めて「歴史」は生まれるのだと、この映画は語りかけてくる。

樋口泰人

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