劇場公開日 2000年6月10日

クロスファイア : 映画評論・批評

2000年5月29日更新

2000年6月10日より日劇東宝ほか全国東宝系にてにてロードショー

宮部みゆきのベストセラーを映画化

現在の邦画界で「ホラーやサイコの原作本の映画化」は、とりあえずの定石なのでしょうか。例えば、さしあたり昨年の「催眠」の枠で、というノリで東宝映画の原作に選ばれたのが、宮部みゆきの『クロスファイア』でした。パイロキネス(念力放火)という、炎を操る超能力者であるOLが、凶悪なガキに制裁を加えるという内容はまあ、S・キングの『ファイアスターター』のアイディアを時事ネタで構成したようなものですが、ただそこには少年犯罪に憤る著者らしい健康な正義感が脈打っている力作ではありました。アホな小僧の身体がバキバキと燃え上がるリアルな描写 に、必殺仕事人的なカタルシスを覚えたファンも多いはずです。……それに炎の話だから「絵」になるしな、なあんてプロデューサー氏は考えたのでしょうか。で、監督は女の子は可愛く撮れて、ガメラでSFXもOKと信任の厚い金子修介に。でも金子氏はSFXに独自のセンスを利かせる人でもなかったし、主演の矢田亜希子嬢は、残念ながら彼が愛する前田愛ちゃんのような“女の子”ではありませんでした。例えば「炎の少女チャーリー」の監督ほどに、本気で宮部の原作を愛するスタッフがいたらなあ、と惜しまれる一本です。

(日下部行洋)

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