アメリカン・パイ : 映画評論・批評
2000年6月29日更新
2000年7月1日より渋谷東急3ほか全国松竹・東急系にてロードショー
「ちょっとエッチな青春コメディ」決定版!
80年代に「ポーキーズ」「初体験/リッジモント・ハイ」「パンツの穴」といった性春映画が流行った時期がある。その現代版といっちゃそれまでだけど、下ネタの表現は潔いほどアッケラカンとなった学園コメディが本作「アメリカン・パイ」。
これは同時期公開の「シーズ・オール・ザット」にもいえることだが、同種の慣行のない日本人にとって、プロムというタイムリミットを設定した童貞喪失競争を経験したヒトなどまず皆無だろう。それでも「アメリカン・パイ」は、アメリカ的青春に無縁だった僕たちにもノスタルジーに似たものを呼び起こす。そう、ここには世代・国境を越えたすべてのオトコに共通 する、最大公約数的な思春期後期の行動・情動がデフォルメされているからだ。
それにしても本作のオトコたちは、女のコをゲットするため愚直なまでの努力を惜しまない。一方、女のコたちは自らのセックスにあくまで忠実だ。それぞれに訪れる童貞喪失のシチュエイションは悲喜こもごもだが (特に「卒業」のパロディは、あのイントロ鳴ったとたん大爆笑)、主導権を握るのはすべて女性、オトコはロマンティックに真実の愛を見つけちゃったりする始末。なんと健康的で罪がなくウェルメイドであることか。いや、それでこそいいのだ、狙いは最大公約数なんだから。
(ミルクマン斉藤)