スチュアート・リトル : 映画評論・批評
2000年7月15日更新
2000年7月15日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー
CGネズミに全米が熱烈ラブコール
「シックス・センス」の監督が、アメリカ人なら誰でも知ってるE・B・ホワイトの人気童話をどう脚色したのか──大のネズミ嫌いにもかかわらず、その興味だけで見に行ったが、いやはや楽しいファンタジー! といっても、この映画のターゲットであるはずの子供は驚異の特撮は楽しめても、お話は「見え透いた展開」と批判するかも。これは大人が深読みして楽しむ、ちょっぴりヘンな寓話なのだ。
ニューヨークの五番街に住むリトル夫妻は「弟がほしい」という息子のため、養子を見つけに孤児院へ。出会ったのは才気煥発な“しゃべるネズミ”スチュアートだ。さっそく次男として連れて帰るが、当惑するのは長男と飼い猫。それぞれ沽券にかかわるじゃん! ことに“ネズミのペット”となる猫の屈辱は深刻で、野良猫のボス(声はブロンクス訛りのチャズ・パルミンテリ!)に追い出しを頼んだから、さあたいへん……。
絵本の「ちいさいおうち」を思わせるマンハッタンの上品な家庭と、野良猫たむろすブロンクスの暗黒街。ネズミと猫と人間たち。「種」と「階級」入り乱れる波乱のドラマは、やがて「シックス・センス」同様、母と息子(ネズミと人間、両方ね)の絆が戻る大団円へと収束し……といったら、できすぎかな?
(田畑裕美)