「烈火のくすぶりは消えない」ソフィーの選択 humさんの映画レビュー(感想・評価)
烈火のくすぶりは消えない
クリックして本文を読む
スティンゴが出会ったときには、すでに複雑な状況の大人の恋人同士ネイサンとソフィー。
激しく癖のあるネイサンとどこか影をもちつつ絶妙な距離感で接してくるソフィーに果敢に?関わっていく青年スティンゴの純心さと若さは怖いもの知らずだ。
ソフィーに魅了されてぽーっと舞あがってるその様子はちょっと滑稽でもあるのだが仄かな恋心がかなりのドロドロに巻き込まれていく。
しかもネイサンの誤解も含めてできあがる奇妙な三角関係をソフィーが上手くコントロールして繋いでいるのでまるでコミカルな話のようだ。
しかし実はそれだけではなかった。
これは、ナチス下にある不条理な時代を生きぬいてきた者のその後の苦悩を重く克明に描き出していく物語だ。
「人種的に不適合」、死ぬ者の「選択」、人間を「抹殺」など聞くだけで眉間に皺がよる嫌な言葉がたくさん出てくるが、それが実体験にまつわる話だから一層生々しい。
モノクロの回想はアウシュビッツへの道中から現地での様子だ。
この時のメリル・ストリープの天性の演技に文字通り釘付けにならない人はいるだろうか。
コメントする