ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 : インタビュー
スペシャル・エクステンデッド・エディション
第1回:ニュージーランドでスタッフ&キャストが語った!
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若林ゆり
■マーク・オデスキー(製作総指揮)
――このエクステンデッド版の製作は、どのように行われたのですか?
「ほとんどの映画のDVDエクステンデッド版は、物語を膨らませたというより、追加のシーンを入れたというだけだよね。例えば最後に10分まとめて入れるだとか。でも、私たちはハワード・ショアをロンドンに送って、必要な箇所の曲をすべて新たに録音している。曲は短すぎて気がつかないようなカットのため、例えば一言のセリフのためにも、継ぎ目がない感じで作っていったんだ。この作品は、1本の完成された映画として独立した存在のものだよ。見る価値の非常に高い作品だということなんだ」
――劇場版とどちらが好きですか?
「どっちも同じくらい好きだよ。DVD版で特にいいのは、劇場版より神話のパートが多いことかな。これには深いレベルの話が何層にも織り込まれているんだ。例えばアラゴルンの話にしても、裂け谷で育ったことを知る必要や、バラッドでベレンやルシアンのことについても知る必要があるだろうかと考えると、別になくてもいいかな、となるよね。でも、あることで映画に対する人々の距離が近くなるような気がするんだ」
――DVD版を製作するにあたって、監督への条件は?
「この映画は、ピーターのビジョンそのものなんだよ。彼は、劇場の観客と自宅で観賞する観客とでは性質が違うと考えている。劇場で映画を見る観客にはそれなりに期待するペースがあるけど、自宅で見るときはちょっと違うんだよ。だからエクステンデット版については、ピーターに好きなようにしていいよと言ったんだ。どんなに長くなってかまわないってね。彼は、3時間半の劇場版は作らなかった。なぜなら、彼は素晴らしい芸術家であると同時に大衆主義者だから、最高の劇場映画を製作するのがどういうことか理解できるんだ。そしてホーム・エンタテーメントとしての最高の作品を作った。素晴らしいよね」
――レイティングを意識した点はありますか?
「劇場版ラストのオークとの戦闘シーンから、PG-13を意識してカットしたシーンが30秒ほどある。30秒まとめてではなく、ここから4秒とか、そういう感じで。例をあげると、最後の戦闘シーンでアラゴルンがオークにやられているところでレゴラスが弓を連打するところ。劇場版では4本の矢を撃っているんだけど、エクステンデッド版では9本撃つんだ(注:最終的には7本に)。メリーとピピン、ボロミア、ギムリのところも、ほとんどわからないと思うけど、ちょっとずつ入っているんだよ」
■ビゴ・モーテンセン(アラゴルン)
「DVDエクステンデッド版をとても気に入ったよ。あの形で世に出てほしいと思う。あれが最終的な(完全な)バージョンだと思うね。将来的にも完全版だと言えるよ。最初に出る短い方(劇場版)ではなく、長い方が必要になってくるだろう。もっとギムリのことがわかるようになるし、すごくいいよ! 他のホビットについても、物語の基礎がもっとよくわかる。エルフの世界もただ美しい。非現実的なだけではなく、トールキンの神話の世界が見えるんだ。トールキンの世界は、エルフが中心なんだよ。そこへ人間が入って来る。僕のキャラクターは面白いよね。増えた場面によって、もっと彼の葛藤がどんなものか、よく見えるようになったと思うよ」
■イアン・マッケラン(ガンダルフ)
「カットされたシーンを見たがる人は多いだろうね。最後の(『王の帰還』の)DVDが出たら、究極の9枚ディスクのDVD、可能なバージョンすべて入れたものを作るということを考えてもいいんじゃないかな。個人的には、撮った映像を全部入れてもいいと思う。ピーターが言っていたよ、この映画は最もカタログ化されたものになるよってね。そうだろう? 興味を持った人たちがたくさんいるんだから、映画が作られた工程や記録を見せるのもいいと思う。見せたことのない部分も、撮ったものは全部見せればいい。秘密にすることはないと思うよ。それだけの価値があるんだからね」
■ジョン・リス=デイビス(ギムリ)
「劇場版にはギムリの出番が少ないって? よく言われたが、仕方ないんだよ。原作では、主だった登場人物だけで18から22もあるんだ。すべては入れられない。ご承知の通り、この映画はレゴラスとギムリの物語じゃない、ホビットの物語だからね。それに、ギムリのメイクには最低でも3時間半かかるんだ。それから、本番直前のメイク直しに25分さ。半年くらいすると肌にアレルギー症状が出てしまって、顔中が真っ赤に腫れ上がった。価値ある顔なのに(笑)。休み休みでないと、メイクできなくなってしまったんだ。ただ、劇場版ではギムリのいいシーンが入っている。彼は森の魅惑的な女性(ガラドリエル)に警戒心を持っていたんだが、彼女に会うと魅了されて、すっかり変わってしまう。2度と同じ彼ではなくなってしまうんだよね。心底エルフ族の女王に恋をしてしまうんだ。それからの彼は以前のように頑ななドワーフ志向ではなくなっている。このシーンが日の目を見られて、とてもハッピーだよ」