劇場公開日 1999年11月13日

「【”黄色いボウリングボール。そして、反社会的人格障害ある夫婦が行った忌まわしき出来事。”故、森田芳光監督の作風の広さとハイレベルな出来に驚愕した作品である。】」黒い家 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”黄色いボウリングボール。そして、反社会的人格障害ある夫婦が行った忌まわしき出来事。”故、森田芳光監督の作風の広さとハイレベルな出来に驚愕した作品である。】

2023年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

■金沢にある昭和生命北陸支社に勤務する若槻慎二(内野聖陽)はある日、中年女性(大竹しのぶ)から「自殺でも保険金は下りるのか」との電話を受ける。
 翌日、菰田重徳(西村雅彦)という契約者からの呼び出しを受け家に赴いた彼は、そこで重徳の継子・和也の首吊り死体を発見する。

◆感想

・現在でも行われている可能性がある生命保険金を狙った身内の殺害事件をテーマにしている先見性に驚く。
 - それに応えるが如く、幼少期から反社会的人格障害者(=サイコパス)を演じる大竹しのぶと西村雅彦の演技が怖すぎる。-

・彼らに翻弄される、昭和生命北陸支社に勤務する若槻慎二を演じる内野聖陽の、恋人(田中美里)を懸命に救いだそうとする姿も、ハラハラドキドキである。

■今作では凡百たるホラー映画のスラッシャーシーンは一切ない。殺害シーンもない。
 だが、今作の怖さは尋常ではない。
 時折挿入されるグリッジ音が効果的であるし、大竹しのぶの完全に精神が崩壊している姿と西村雅彦の魂が逝ってしまっている貧乏揺すりをする姿が怖いのである。

<故、森田芳光監督作で唯一未鑑賞であった作品である。
 そして、彼の方の作品のレベルの高さに驚いた作品でもある。
 彼の監督の幅広き作風に驚くとともに、もっと長生きして多くの作品を制作して欲しかったなあ、と今更ながら感じた作品である。>

NOBU