劇場公開日 1999年12月11日

ジャンヌ・ダルク : 映画評論・批評

1999年11月29日更新

1999年12月11日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急洋画系にてロードショー

人間性豊かに生まれ変わったベッソン版ジャンヌ

ベッソン映画のヒロインには独特の存在感と魅力がある。彼女たちは考えたりしない。ベッソンは、考えていたら手遅れのような緊迫した状況、あるいは自分の世界とあまりに異質であるために、考えることに意味がない環境に彼女たちを放りだす。だから彼女たちは、野性的な本能や根源的な力に頼るしかなくなる。ベッソンにとって時代背景や物語の流れはただの飾りにすぎない。彼に興味があるのは、極限の状況に適応し、進化するヒロインの存在だけであり、それだけで映画を成立させてしまうところに彼の魅力がある。

戦いの方法すら知らずに戦場の真っ只中に放りだされ、内に秘められた力を呼び覚まし、 致命傷を負いながらも再生するジャンヌはまさに彼のヒロインだ。しかも映画の後半では、 別の意味でベッソンの世界が見えてくる。

ジャンヌは自分の神秘的な体験が、啓示なのか、自分が見たいものを見ただけなのか葛藤し、自分を信じる道を選ぶ。そんな彼女の姿にはベッソン自身がダブる。彼にとって映画を作るということは、物語が稚拙であろうが荒唐無稽であろうが、レンズの効果 で画面が歪もうが、自分が見たいものを啓示だと信じて視覚化することであるからだ。

(大場正明)

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