海の上のピアニストのレビュー・感想・評価
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これも一つの生き様で、彼我に差等はないはず。
88枚の鍵盤に限られるピアノの世界とは違って、その枚数には限りのないこの世の中を生きるには、相応の困難を覚悟はしなければならなかった―。結局は、そういうことでしょうか。
本作のナインティーン・ハンドレットにとっては。
その生き様の是非を巡っては多様な意見がありそうですけれども。
しかし、困難には果敢にチャレンジするのが一つの生き方とするのであれば、それと等価の視点を持って、彼のような生き方も「あり」として、是認されて良いのてはないでしょうか。
ともすれば「頑張れ」「前向きに」「まずは最初の一歩を踏み出せ」と激励され、その激励が却(かえ)って重荷となって、心が折れそうにすらなってしまうことも、この世の中では、あるのではないでしょうか。
本作のナインティーン・ハンドレットのような生き様が共感を呼ぶのも、そういう現実社会へのアンチ・テーゼが含まれている故のことと断言したら、それは評論子の独断というものでしょうか。
ナインティーン・ハンドレットだって、豪華客船の中では乗客(富裕層)の名誉心や欲望といった醜い現実と向き合い、本船が病院船に転用されてからは、死に向かう傷病兵という戦争の苛烈な現実と向かい合っていたわけですから、彼が船を降りなかったことをさして、いわゆる「後ろ向きである」とか、「現実逃避である」との批判は、当たらないのではないかと、評論子は思います。
彼の生き様と、他の生き様との間に、差異を見出すべきではないとも思います。評論子は。
本作は、午前十時の映画祭13の一本として鑑賞したものでした。
観終わって…。
そのシリーズの一本に恥じない、深い共感が残る秀作であったと思います。
評論子は。
結末がわかった
最初の公開時に観ていたし、嵐の波の上でピアノがグルグル移動するシーンは覚えていたのだが、どうにも結末が思い出せない。ああ、こうだったんだと納得。もちろん、映画は映像の質も含めて良かった。
ダニー・ブードマン・T.D.レモン・1900
という名前からしてなんか凄い。
「戦場のピアニスト」や「ピアノ・レッスン」等と混同してしまって、勝手に悲壮な映画と決めつけていた。
しかし、この映画全体にユーモアがあり、主人公も魅力的でよかった。
結末は納得できないが、よい映画だった。
最初にアメリカに到着する時のみんなの興奮が伝わるシーンが印象的。当時の人々が思う「「自由とチャンスの国」としてのアメリカ」が眩しかった。
88個の鍵盤が彼の世界
午前十時の映画祭にて鑑賞。
1900のセリフや感情表現こそ少ないが、ピアノの音色を通じて言葉の様に伝わってくる。
皆音楽を楽しんでいるが、別の世界へ踏み出さない1900と、夢と希望への道中の船内の人々の対比が垣間見える。
海の上で船と共に人生を全うする
この世に生を受けた場所、TDと巡り逢った場所でもある「船」と一緒に、海の上で人生を全うした1900。
実の親からの愛を受けることはなかったけれども、彼の周りには愛情を注いでくれる人々が大勢いた。
こう言う人生もあるんだな。
最高レベルのエンタメ映画。でも何を伝えたいのかな?
「午前十時の映画祭」で鑑賞。
冒頭から映画の世界にぐいぐいと引き込まれ、その見事な手腕に感服。
とにかく発想が面白い。こんなユニークなストーリーをよく考えるものですね。
多少、中だるみしたところはあったけれど、最高レベルのエンタメ映画といって差し支えないでしょう。
ただ、この映画を通して作り手が何を伝えたかったのか、それがイマイチわからなかったです。
それから、回想シーンと現在の繋がり方に少しだけ違和感をおぼえました。
あと、「コーン吹き」の瞳を震わせる演技は必要なのかな?(と思ったら、役者さん自身の病気なんですね)
それにしても、あのキスはダメだな。逮捕されちゃいますね。
誰にでも推せるわけではないが、いわゆる午前10時の~の枠はハズレが少ない
今年111本目(合計1,203本目/今月(2024年3月度)29本目)。
(前の作品 「レッドシューズ」、次の作品「12日の殺人」)
1900と呼ばれる主人公と(この映画の主人公を誰に取るかは色々ありそうですが)、その奏でる音楽が論点になる映画です。
古い映画のリバイバル上映なので、どうしても現在(2023~24)の映画と比べると視覚面などはどうしても落ちてしまいますが、いわゆる「午前10時の~」で放映されている映画というのは不朽の名作で、多少確かに「退屈かな」というところはあるはあるとしても、よかった映画です(個人的に音楽を15までやっていた、という事情もあるので)。
今ではVODで課金できたり、ネットフリックス等ほかでは普通に再生できるらしく(4Kかどうかは知らない)、4Kであろうがどうしようがストーリーが変わるわけではなく、あれもこれも書こうとするとネタバレどころの話ではないので薄目に…。
映画「それ自体」としては実際の史実を直接、詳しく参照することはありませんが、この当時(1900年を起点として、その前後の世界史の事情)のことを知っていれば有利かなと思える部分は多々あります(この点で理解はある程度変わる。もちろんこうした事情で復刻上映されているのでパンフレットなどというものはない)。
作品の採点において特に気になる点まで見出せなかったのでフルスコアにしています。
書くまでもないですが、2023~24年の水準でアクション映画を見たいだのホラー映画を見たいだのといった趣旨の映画ではないので注意です(換言すれば、そうした事情で放映されていることから、帰宅すれば気になる点などVODで確認したりすることができるし、比較的「後追い」(後での気になる点のチェック)がしやすい映画ではあります)。
海の上で育ち生涯を終えた男がいるなんて…もはやお伽話。 モリコーネ...
海の上で育ち生涯を終えた男がいるなんて…もはやお伽話。
モリコーネの音楽が流れるだけで心揺さぶられる。
子供時代に船乗りに愛情深く育てられるシーンが好き、もっと長くてもいい。
ピアノと出会い驚異の才能で周りを魅了していくが、決して陸に上がろうとしない。
その理由も船で生き続けたからこそだから、否定はできないけど切ない。
船に乗った女性に恋をするが、あれはアウトよ。1900が純粋なんだろうけど、、じゃ誤魔化せない。
ともに船上で演奏を行ったマックスがもう1人の主人公であるが、ずっと目が泳いでて気になったが、俳優自身の持病だったとは…
ファンタジー
午前十時の映画祭にてようやく鑑賞出来ました。
素敵なファンタジー映画でした。
1900には生きて欲しかったけど、映画としての纏まりはこの結末で正解な気がします。
音楽がいいと映画の評価も跳ね上がりますね。
良い奴しか出てこない世界
我良い奴のみ存在世界大好物侍当該映画で幸福と安穏得て嬉々してる候。
自分が望む幸せな未来が必ずしも他人と同じとは限らない…これはハッピーエンド。私はタイタニックもハッピーエンドだと思ってる節があるので異論ある方は信じないように。
それにしても良い奴しか出てこねえ。
午前10時の映画祭サイコー!スクリーンと良い音響で見るべき映画でした。
我幸せ候。
美しい映画
大昔に見た映画だか、良い作品だった覚えがあるので映画館へ。
ピアノとトランペット、サックスのジャズが好きなので飽きることなく入り込める。
未知なる空間、新しい煌めく世界…私たちには当たり前の期待や希望を知らないことは大きな恐れになる。
何が幸せなのかわからなくなるが、ただ美しい映画だと感じている。
人生に仮託する航海、航海に仮託する人生
久しぶりに映画らしい映画を観た。筋書きはスッキリ、登場人物のセリフははっきり聞き取れ、無駄な映像的チャレンジはない。ヨルゴス・ランティモスとかアリ・アスターとかばかり観ているとこちらの精神的バランスがおかしくなるからね。たまにはこういう正統派の映画を観なくては。
この監督は「ニュー・シネマ・パラダイス」で映画と人生を並列してみせた。この映画では船と人生、そして音楽が一体になった姿を描く。船と人生っていうと「白鯨」のエイハブ船長とか「海底二万マイル」のネモ船長とかファナティックな話が多いんだけど、この場合は船乗りじゃなくてピアニストなんでね。スマートです。
私は、映画冒頭の乗客がアメリカを発見する(自由の女神を見つける)くだりと、ダニーが子供を拾い「1900」と名付けて育てるあたりがとても好きです。この映画、1900とマックスの交流が主体でその他の船に取り組んでいる人達があまり出てきません。もちろん、イタリア語完全版(170分!)は違うのかもしれないけど。
何と言っても、エンリオ・モリコーネの音楽ですね。先に書いた映画冒頭で集客の一人が自由の女神を見つけて移民たちがアメリカについたんだ、と感激、感動するシーンに高らかにモリコーネのオーケストレーションがかぶさります。
泣きそうになりました。ああ、もうモリコーネもバート・バカラックもいなくなったんだって。
picnic cinemaにて鑑賞
1900のラストの決断がありえないと感じるのは
そもそも生い立ちがありえないから
ありえないが溶け込んで異論が自然と排除されてる完璧な起承転結
ファンタジーとリアルの歯車の噛み合い具合が素晴らしい
1mmでも狂ったら途端に視聴者と作品の距離が空いてしまうような、繊細で精巧に出来た作品
一度も陸に降りたことがない1900
大西洋を巡る豪華客船の中で、
生後間もない赤ん坊が見つかった。
彼は船内のピアノを弾きながら旅していた。
陸の人間は理由を求めすぎると。
ジャズの発明者との対決シーンも
見応えあった。
ピアノの弦でタバコに火を点けて勝利!
そんな彼が一目見た女の子に心を奪われて
弾いた曲が録音されたレコード。
大量生産を拒み、その娘に渡そうと
するが、、、
陸からなら聞こえる"海の声"を求め、
(断ち切れない彼女への想いから人生で初めて)
船を降りようとするが、タラップの途中で
止まり、考え込み、船に戻った。
その後戦争中も船の中にいた1900.
タラップの途中で街を見た時、
見えるものより見えなかったもの。
最後に行き着く場所が分からなかったと。
ピアノの鍵盤は88.
しかし、タラップの下は無数。
船の上で生まれた。
僕は限りある鍵盤で幸せを届ける。
僕は結局存在しない人間だ。
僕は船を降りない。
ダイナマイトで船は爆破してしまう。
古楽器屋にトランペットを売りにきた
コーン吹きが、このストーリーを語り、
ラストは必要だろと渡される構成も◯。
2024.4.6 DVDにて2回目鑑賞.
リアルなファンタジー
大好きな作品、久しぶりに観ました。20世紀初頭の雰囲気からしていいですね。豪華客船とエンニオ・モリコーネさんのジャジーな音楽だけで十分に至福の時間でした。でも、一番印象的なのは、1900(ティム・ロス)とマックス(プルイット・テイラー・ヴィンス)の深い友情ですね。海が荒れたときにピアノを演奏しながら船内を動き回るシーンのなんと幻想的で美しいことか!あり得ないような話なのに、何故かリアルに感じてしまいました。主は回想シーンですが、楽器屋の店主に語るという現在パートの幻のレコードやトランペットのくだりがなかなかいいですね。
船で生まれ、一度も船から降りたことのないピアニスト。 一度は降りる...
船で生まれ、一度も船から降りたことのないピアニスト。
一度は降りる決意をしたものの、無限の外の世界が怖かった。ピアノのさえあればどこでも無限に奏でられるんじゃないかと思うけど、人生の全てを船の中で育って生きた彼だからこその価値観。だからこそ生まれる無限のピアノのなんだなぁと。
ラストは友人マックスと同じくらい無力な気持ちになって切ない。
嵐で揺れる船の中でピアノを奏でるシーンは素敵でした。
13年前の感想
移民船に置き去りにされた赤ん坊が、
船の上で成長していく過程をトランペット吹きのデブ男の語りで進む。
赤ん坊は、1900年に生まれたから名を1900(ナインティーンハンドレット)とする。
ある日、赤ん坊が大きくなり、一人で歩けるようになると、
船内にあるピアノに興味を持つ。そこでプロをも驚く演奏で、
皆が驚愕し、1900の才能が開花する。
一番好きなシーンは、夜、ピアノを弾くところで荒波で
船が揺れているにも関わらず楽しそうに弾く。
一種のショーを見ているかの様にとても輝いている。
あと、自分の曲をレコードに録音するときに、
目の前にいた女性に一目惚れし、自分の感情をピアノで
表現しているところはすごい。見ていても1900が恋をしているのがわかる。
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