シュリのレビュー・感想・評価
全87件中、41~60件目を表示
全編を覆う暗いセンチメンタリズム
日本では1999年の冬に公開された。韓国映画がロードショー公開された最も初期のケースだと思う。この後、「JSA」「オールドボーイ」など秀作が続々やってきて、TVドラマで2002年に「冬のソナタ」が放映されたこともあって最初の韓流ブームを迎える。
私はソウルオリンピックの前の年1987年に初めてソウルに行った。当時はソウルですら大きな田舎であって日本語は禁じられているし超一流ホテル以外は英語も通じなかった。街中、アルファベットも漢字もない。例えば地下鉄はハングル表記しかないのでそこが何駅かすら分からない。映画も全くローカルであって固定カメラで役者がボソボソ喋っているだけで何を演じているかすら見当もつかない。技術以前のレベルだった。
風穴を開けたのがこの「シュリ」である。銃撃アクションものとしても、カーチェイスものとしても、スタジアムパニックものとしても、おそらく韓国映画で初めて世界レベルに到達した作品だと思う。今、観てみると銃撃シーンは画像がブレブレでいかにも素人っぽいが。
この作品は現在の韓国映画の原点と言ってよい。
この作品の監督であるカン・ジェギュあたりからはじまりボン・ジュノ、パク・チャヌク、イ・チャンドンなど新進の映画人たちが輩出し一気に韓国映画は変わっていく。
だが、韓国映画新時代の原点となるこの作品は、以後の韓国映画の特徴をすでに身にまとっているのである。
1つ目の特徴は対立軸がはっきりしていること。これはこの映画の段階ですでに50年続いている南北の対立がある国だからこそなのだろう。南北だけでなく、警察と検察、警察とヤクザ、ブルジョアと貧乏人、家庭内での対立も含め、様々な対立が気持ち良いほどくっきり描かれる。
2つ目の特徴は、その対立が、多くの場合、暴力の執行にまで発展し、行き着くところまで進むところにある。韓国映画の中では争い事が話し合いで解決したとか、一方の当事者が身を引いたとかの決着はあまりみたことがない。
3つ目は全般を覆う悲壮感というか無常感というか、暗いセンチメンタリズムである。この映画でも、主役のジョンウォンとミョンヒョンは恋仲でもう少しで結婚するという関係でありながら、会うのはほぼ夜であり、常に観賞魚の水槽のライトに青白く照らされている。この恋は実らない、不幸な結末を迎えるという予感が甘く、切なく、哀しく、漂っている。まさに韓国映画独特のセンチメンタリズムともいうべきものであり本作以降、引き継がれていく。
今となっては、、、、、。
ストーリー、展開は単純だが…
ファンジョンミンも見逃さずに
公開当時は名作なんでしょうが・・・
なんなんこの映画、凄すぎる‼️
あのビッグネームも出演
四半世紀の時を経て、リマスターされた本作。韓国で制作された映画をそうと意識して観たのはこの作品が初めてだった。
一方的に北を悪役に描く訳ではなく、南北分断の根深いところを描き、単純な二項対立の物語に回収しないところに感慨を覚えたものだ。このレベルの作品を引き続き生み出すことになれば、この国の映像コンテンツは日本で、世界でヒットを連発することになるだろう予想は見事に裏切られ、個々の作品がヒットするどころか、韓国の映画、ドラマ、ポップミュージックが日本のあらゆる世代に受容される状況が
20年続いている。
その当時は韓国の俳優をほとんど知らなかったので、主人公の相棒役のソン・ガンホ、北の特殊部隊のチェ・ミンシクは印象的ながら、その名前を知らなかった。しかし、この度の再鑑賞によって、思いもよらぬビッグネームの顔を発見する。
エビローグに入ってからの、主人公を尋問する一人が若きファン・ジョンミンではないか!
韓国の俳優でもっとも好きな彼にここで出会えるとは、なんと驚きの発見だろう。
削除編集
鑑賞日2001年登録日2014/09/01評点:-点鑑賞方法レンタル/DVD 鑑賞費用0円誰と観た一人3D/字幕字幕メモ
Like0
戻る
悲恋とアクションのほどよいバランス
究極の愛が組み込まれた韓国のスパイアクション映画。 本年度ベスト級。
1999年の公開時に大ヒットした作品の映像や音響を手直しした作品と言うことで鑑賞。
ぶっちゃけ中盤までは何故大ヒットしたのか解らない(笑)
だけど後半のある事実を知り、のめり込んで行く感じだった。
韓国映画、禁断の愛の描き方がハンパねーって感じ(笑)
序盤、北朝鮮と思われる場所で生きるか死ぬかの軍事演習的なシーン。
これが意味不明なんだけど、後から解るシーンとなっていて終盤の涙を誘う。
結婚を控える韓国情報局のユ・ジュンウォンがメイン。
国内で暗殺事件が多発する中、ジュンウォンが同僚と暗殺者を捜査する中、破壊力が凄い液体状の爆弾が奪われてしまうストーリー。
銃撃戦やアクションシーンが多め!
その時の迫力を出す理由もあってなのか、カメラアングルがブレブレで目が回りそう(笑)
当時のカメラワークとして新鮮だったろうと思うけど、やり過ぎな感じ(笑)
韓国と北朝鮮の関係性がなかなかリアルに表現していた感じも見所。
仲間を助ける為、任務を放棄するか?
任務を遂行する為、仲間を放棄するか?
このセリフが本作のキモだった感じ。
終盤の予想も出来ない事実に驚く!
今まで見てきた序盤のシーンが走馬灯の様に思い出され涙が止まらない。
究極の「愛」に泣ける!
本作が当時大ヒットした理由が解った様な気がした。
「シュリ」って人の名前だと思っていたかど違ってました( ´∀`)
8279
韓国最高傑作のスパイアクション映画
25年ぶりの鑑賞。鮮度は落ちず、逆に当時の韓国映画のパワーに改めて脱帽!
しばらく権利の都合でパッケージは廃盤、未配信のためレンタル以外は観ることができなかったまさに「韓国映画の伝説的大傑作」をデジタルリマスター版で久々劇場鑑賞。
日本公開は2000年1月。
月日が経つのは早いもので25年も経つのですね。
公開前から話題で初日に劇場に足を運びました。
確か韓国映画を観るのも本作が初、世間も2002年のFIFAワールドカップ共催でお互いの文化交流も積極的になった両国のムードの非常に良い時期でしたね。
とにかく当時の日本映画では想像がつかないとびきりリアルな銃撃戦のスパイアクション、ハリウッド超大作『ブラック・サンデー』(1977)のような大規模なスタジアムロケに度肝を抜かれ、映画の根底、テーマに同一民族の分断の悲しみ、統一への願望と葛藤という、到底日本では描かれないポリティカルな側面が作品により深みをあたえて、(当時の)日本映画との大きな差に打ちひしがれた記憶が鮮明に残っております。
本作の大成功で、その後『JSA』(2000)『シルミド』(2003)『殺人の記憶』(2003)『ブラザーフッド』(2004)と次々と公開され国内でもヒット、ジャンルとして定着しましたから、まさに記念碑的作品ですね。
出演者もハン・ソッキュ、『LOST』のキム・ユンジンも懐かしかったのですが、ソン・ガンホが若くてスマート、そして完璧な2枚目役で驚き。
そしてチェ・ミンシク。本作でブレイクして『オールド・ボーイ』(2003)『親切なクムジャさん』(2005)『クライング・フィスト』(2005)『悪魔を見た』(2010)と2000年代の韓国映画を牽引しましたね。
25年ぶりの鑑賞ですが鮮度は落ちておらず、逆に四半世紀前にこれだけの映画を撮影した韓国映画のパワーに改めて脱帽ですね。
ただ25年経っても現実の南北問題は全く進展を見せていない現実は切なくなりますね。
気持ちは南北分断を超えて
観る者の胸を引き裂く、唯一無二の壮絶なアクション・メロドラマ
深く胸に刻まれていた作品だが、随分と長い間観ることができなくなっていた。リマスター版の再公開を機に劇場で観たいと思っていたが…Amazonでの配信開始を知り、我慢できずに自宅のテレビで鑑賞。とうの昔から結末を知っている自分は、始まって10分かそこらでの幸せそうな2人をみているだけで目頭が熱くなってしまった。
最初の劇場公開時から言われていたことだが、この作品には荒削りなところが多々ある。にも関わらず、この作品は実に力強く観る者の胸を揺さぶり引き裂く。何度観ても涙を堪えることができないが、脳裏には同時に、こんな風にセンチメンタルになってはいけないのではないかとの想いが去来する。ストーリーはフィクションでありながら、描かれているのは朝鮮半島の分断による痛みであり、ほんの僅かかも知れないが、朝鮮半島の人々の痛みのリアリティが伝わってきたような気がした。この感想は、今日再鑑賞してみても全く変わらない。
最初の公開時には、映画好きを自認していた自分は、アクション映画で完全に韓国に先を越されたとの感想を持ったことを覚えている。しかし、再公開に際しての予告編で、「韓流の原点にして頂点」というキャッチコピーが使われていたのを見て、強烈な違和感を持った。そんな風に何かと比べて進んでいるとか、原点だとか頂点だとか、そもそもそんなことが問題になるような作品ではない。そんなことは全く意味がなく、紛れもなく比較するもののない、唯一無二かつ問答無用の大傑作であることを私は疑わない。再び観ることができるようになったことを、心から喜びたい。
チェ・ミンシクとソン・ガンホ
この作品と「JSA」が今の韓国映画の隆盛の原点
「JSA」は何度も観ている好きな作品だが、「シュリ」は初鑑賞
恋愛要素が絡む作風だったので今の今まで食指が動かなかった
相変わらずエモい作りは変わらずだが、驚いたのはチェ・ミンシクとソン・ガンホ
若い…
韓国を代表するオジサン俳優二人が、若い…
チェ・ミンシクは知らなければスルーしているくらいだし、ソン・ガンホはフォルムだけで見れば仲村トオルだ(髪型がそっくり!)
ピエール瀧の二十代当時がシュッとしてカッコよかったのを思い出しましたよ
映画自体は「JSA」同様、南北問題が題材
しかし、韓国映画界はオジサン俳優の層が厚い(ソウルの春は韓国映画オジサン祭だ)
日本だとピエール瀧やリリー・フランキーある意味部外者二人が代表格で、本業の俳優陣は佐藤二朗やムロツヨシだもんな…オワリ
アクション大作なんだな
権利関係から長らくソフト化されずにいた幻の傑作という触れ込みで、期待値高くリバイバルにて初鑑賞。
25年前に見ていたらさぞ衝撃的だったろう。撮影と編集技術もすごいが、カン・ジェギュ監督のアクション演出のレベルの高さは驚異的。カーチェイスもガンアクションも、数多ある凡庸なアクション映画を完全に凌駕している、と。
皆さんご指摘のように、ストーリーの粗さや展開の不自然さなどツッコミどころ満載なれど、アクションシーンが秀逸なのと、脇のソン・ガンホ、チェ・ミンシクがいい芝居をしているので目をつぶっちゃう。
しかし。
主役の刑事と女工作員、この何を置いても重要な2人のキャスティングはどうなんだ。魅力に乏しく、物語が進んでも一向に感情移入できないのは致命的であった。演出よりもプロデュースの責任じゃないか。
ラストシーンに立ち上がれない
初見は2000年。まだ韓流もヨン様も出現する前、たまたま単身赴任の暇つぶしにみた映画に凄い衝撃を受けた。韓国映画はここまでレベル高いのか。日本置いていかれてるやんと。そして今では虚しいが、当時は南北に融和ムードが満ちつつあるように思えたものだった。
もちろんガンアクションもストーリーも、色々ツッコミたくなるシーンはある。でも祖国統一のため私情を無にしたはずの工作員が、一瞬夢見た自身の幸福とそれを手放す絶望。この千切れるような心情はハリウッド大作からは絶対伝わってこない。
全てが終わった後に残された留守電のメッセージを聞くシーンがあまりにも切ない。ハン・ソッキュのあまり表情に出ない悲しみの表現が、同じ東洋人として胸を打つのかな。
キッシング・グラミーの言い伝え通り、心を亡くしてしまった主人公。ラスト、済州島のベンチに流れる「When I dream」に、自分自身の過去の別離の記憶が重なり、遠くを見つめる彼と同じく、自分も呆然とその場に座り続けた。
人生色々経験して泣きどころが変わったかな…
思てたのと違うけど
全87件中、41~60件目を表示