劇場公開日 2024年9月13日

「25年ぶりの鑑賞。鮮度は落ちず、逆に当時の韓国映画のパワーに改めて脱帽!」シュリ 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.025年ぶりの鑑賞。鮮度は落ちず、逆に当時の韓国映画のパワーに改めて脱帽!

2024年9月16日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

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興奮

しばらく権利の都合でパッケージは廃盤、未配信のためレンタル以外は観ることができなかったまさに「韓国映画の伝説的大傑作」をデジタルリマスター版で久々劇場鑑賞。

日本公開は2000年1月。
月日が経つのは早いもので25年も経つのですね。
公開前から話題で初日に劇場に足を運びました。
確か韓国映画を観るのも本作が初、世間も2002年のFIFAワールドカップ共催でお互いの文化交流も積極的になった両国のムードの非常に良い時期でしたね。

とにかく当時の日本映画では想像がつかないとびきりリアルな銃撃戦のスパイアクション、ハリウッド超大作『ブラック・サンデー』(1977)のような大規模なスタジアムロケに度肝を抜かれ、映画の根底、テーマに同一民族の分断の悲しみ、統一への願望と葛藤という、到底日本では描かれないポリティカルな側面が作品により深みをあたえて、(当時の)日本映画との大きな差に打ちひしがれた記憶が鮮明に残っております。

本作の大成功で、その後『JSA』(2000)『シルミド』(2003)『殺人の記憶』(2003)『ブラザーフッド』(2004)と次々と公開され国内でもヒット、ジャンルとして定着しましたから、まさに記念碑的作品ですね。

出演者もハン・ソッキュ、『LOST』のキム・ユンジンも懐かしかったのですが、ソン・ガンホが若くてスマート、そして完璧な2枚目役で驚き。
そしてチェ・ミンシク。本作でブレイクして『オールド・ボーイ』(2003)『親切なクムジャさん』(2005)『クライング・フィスト』(2005)『悪魔を見た』(2010)と2000年代の韓国映画を牽引しましたね。

25年ぶりの鑑賞ですが鮮度は落ちておらず、逆に四半世紀前にこれだけの映画を撮影した韓国映画のパワーに改めて脱帽ですね。

ただ25年経っても現実の南北問題は全く進展を見せていない現実は切なくなりますね。

矢萩久登