「ラストシーンに立ち上がれない」シュリ あっきゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストシーンに立ち上がれない
初見は2000年。まだ韓流もヨン様も出現する前、たまたま単身赴任の暇つぶしにみた映画に凄い衝撃を受けた。韓国映画はここまでレベル高いのか。日本置いていかれてるやんと。そして今では虚しいが、当時は南北に融和ムードが満ちつつあるように思えたものだった。
もちろんガンアクションもストーリーも、色々ツッコミたくなるシーンはある。でも祖国統一のため私情を無にしたはずの工作員が、一瞬夢見た自身の幸福とそれを手放す絶望。この千切れるような心情はハリウッド大作からは絶対伝わってこない。
全てが終わった後に残された留守電のメッセージを聞くシーンがあまりにも切ない。ハン・ソッキュのあまり表情に出ない悲しみの表現が、同じ東洋人として胸を打つのかな。
キッシング・グラミーの言い伝え通り、心を亡くしてしまった主人公。ラスト、済州島のベンチに流れる「When I dream」に、自分自身の過去の別離の記憶が重なり、遠くを見つめる彼と同じく、自分も呆然とその場に座り続けた。
人生色々経験して泣きどころが変わったかな…
コメントする