劇場公開日 2022年1月7日

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ゼイリブのレビュー・感想・評価

全72件中、21~40件目を表示

4.0陰謀論者の踏み絵

2022年9月13日
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よく見るゆるめのニュース系YouTuberが急拡大している五大陰謀論──なるもの、について話をしていた。

それによると今、巷では──
①三浦○馬さん(の自死に関する)陰謀論
②コロナウィルス(が存在しないと主張する)陰謀論
③レプティリアン陰謀論
④NESARA GESARA陰謀論
⑤マッドフラッド/タルタリア陰謀論
──がはやっているそうだ。

④と⑤については知らないが③レプティリアン陰謀論は昔からあった。
世界の要人、大統領や首長は、人間の姿をしているけれど、じっさいは人に紛れて進化した爬虫類人なんですよ──という陰謀論で、しばしば画質の荒い動画などで、その爬虫類的特長を検証したりする。

昨年(2021)わたしの親友がしんだ。かれは陰謀論がだいすきだった。わたしも現実を忘れさせてくれる陰謀論の話題はきらいではなかったのでかれの主張に快く同調した。陰謀論を信じるのも信じないのも勝手にすればいいことだ。

かれは世界にあるさまざまな陰謀に恐怖していたが、しんだ理由は酒の飲み過ぎ(肝硬変)だった。怒りっぽくなる肝硬変に加え、陰謀論者の癪症のようなものが相乗して、晩年のかれはなんでもかんでも八つ当たり発生装置のようだった。

世の中に陰謀or陰謀のようなことがある──として、それがじぶんにどんな関わりを持ってくるかについて、具体的な見識をもっている陰謀論者はいない。
存在しない陰謀を怖れつつ、じっさいには酒の飲み過ぎでかれはしんだのだった。どこかの要人が爬虫類人だったからしんだわけではなかった。

今年(2022)の参院選で1議席を獲得した○○党というのがある。自尊史観、無農薬、外国人排除──右傾を標榜する耳馴染みのいい辻説法で勢力を急拡大した。

わたしもたいがいにばかなにんげんだが○○党を支持する人らはわたしよりもひとまわりばかだろう。何人かのインフルエンサーがしばしば「日本人はばかなんでころっとだまされる」という言い方をするがそれを聞くと(じぶんを顧みることなく)かんぜんに同意できる。

わたしにとって陰謀論とは映画のようなものだ。現実逃避のための娯楽。

対して現実とは、朝起き仕事して寝る、月末に僅かな給与を得る──ことだ。
なんらか変化や向上を望むならば生活をじぶんで改革しなければならない。改革には史観や理想論は使わない。オーガニックの食材は多少関係するかもしれないが、つねに摂取するなら食費だけで労賃が費えてしまうだろう。
まして生活改善に爬虫類人は関係がない。
たぶんどんな陰謀もわたし/あなたの人生になんの関係もない。

よって自助でなければひとつも変わらないことを知っているわたしにとって、陰謀論とは映画のようなものだ。現実逃避のための娯楽である。

ジョン・カーペンターのゼイリブは陰謀論とエンタメが融合した映画として語り草になっている。映画もドラマもまったく見なかった亡き親友もこのカルト映画のことは知っていた。

『私たちが知らないうちに、私たちの決断に影響を及ぼしているのです。
私たちが感じないうちに、私たちの感覚を麻痺させているのです。
私たちが気づかないうちに、私たちの生活を支配しているのです。
彼らは生きている。(They Live)』
(映画のキャッチコピーより)

レプティリアンのように気づかないうちに人類を支配していることや、そのことをサングラスを持っている主人公だけが知っていることが、陰謀論者の自尊心をやたらくすぐった。

陰謀論者の意識や気分を上げているのは選民感覚だ。広い地球でじぶんだけが知っている優越感。そこまでいかなくても党員や信者になることによっていわば“ノアへの乗船資格”を得られる感覚が陰謀への忠誠につながる。

ただしそれは映画ファンの妄想とおなじメカニズムをしている。

映画好きのわたしもずっと秘密のサングラスを手に入れようとしてきたようなもんだった。

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津次郎

3.0今は昔。隔世感が半端ない

2022年8月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

ジョン・カーペンター作品とはいえ、当時のハリウッド映画のVFX技術はこの程度か…と思わせずにはいられないレベル。

逆に言えば、今でも、まあ鑑賞に耐えうるレベルを維持しているSWEPIVなどはいかにとんでもない作品だったかということなのか。

当時、WWFの現役レスラー(だった気がする)ロディ・パイパーを主役に起用したり、特殊なレンズを通すとエイリアンの正体が見えるなど、現在に受け継がれている意匠も数多く見受けられます。そこは、さすがジョン・カーペンター。

2015.8.12

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うそつきカモメ

2.5もう少しなんとかならなかったのかな〜

2022年5月16日
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ジョンカーペンターレトロスペクティブル2022
というイベントで、リマスターされて公開されたのがきっかけで観たくなった。

少し無駄なシーンが多いような気がする。
異星人を見分けられるサングラスはもう少し早く手に入れてほしい。

最後の30分だけは見応え有ったかな。
公開当時に観なかった理由がわかるような気がする

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つかちん

4.5国家中継怖くて見れないかも(サングラスお持ちの方に)

2022年3月26日
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高橋ヨシキさん絶賛の作品。
やっと観ました。何しろ映画は映画館のスクリーンで観たい派なもんで。ギリギリ最終日に間に合いました。

さすがはジョン・カーペンター監督、時間配分がメチャクチャ。サングラスいつ出てくるのーって心配したし、いくら人気プロレスラーさんだからって格闘シーン長過ぎだよ。

まぁそんな些末な事はおいといて、マジ怖すぎだよ。
だって心当たり有りすぎ。
日本にも沢山いるよね、あいつら。
元〇〇のAさん夫婦や、その仲良しの漢字が読めないAさんとか…間違いない!
彼らの仲良しさん達の集まりをサングラスでみたらあの顔ばっかだよ、きっと。

最近の若い子達にポチ君が増えてるのも奴らの電波のせいなのか?

あのサングラスかけて国会中継見たら…。
ずらーっとあの顔が並んでいそうで怖い怖い。

でも本当に映画の中で一番怖かったのはホリーの目の色でした。

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ちこどん

3.0大作のようなテンポで入る序盤から二人が大喧嘩する中盤、レジスタンス...

2022年3月16日
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鑑賞方法:VOD

大作のようなテンポで入る序盤から二人が大喧嘩する中盤、レジスタンス戦の終盤の急展開感が低予算で監督が言いたいことを捲し上げる感があって人間らしい。メッセージは資本主義に関わり続ける限り人間のメインテーマ足り得るもの。やっぱ昔の映画って人間らしくて良いわ。

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kazuyuki

4.0サイドスープレックスでピンフォール

2022年3月12日
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22011.ジョン・カーペンター監督お得意の暗闇からぞろぞろ現れる謎の集団

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movie

4.024時間戦えますか

2022年2月27日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

怖い

眼鏡を通して見える真実「obey(従え)」「MARRY AND REPRODUCE(結婚して繁殖しろ」「CONSUME(消費しろ)」。我々労働者は資本家に監視され、大量生産、大量消費のコマにされているってことか。良く出来た作品だ。

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movie freaks

4.5ポップコーンムービーだけど物質主義への批判が効いている!

2022年2月7日
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鑑賞方法:映画館

身の回りに異星人が混じっていたら…

敵への過剰な銃乱射シーンや異星人の衝撃的なビジュアルなど、ポップコーン片手に手軽に観れるB級映画として大満足。
その上、サングラスをかけることで、異星人の正体に加えて、世の中がいかに消費社会であるかを強烈に教えてくれる。

アクションシーンが多いが、個人的にはメイン2人のプロレスシーンが好き笑。異星人による洗脳の強さを表しているんだろうけど、人間同士でかなりガチだなぁ、結構長いのが面白かった。
後、性や暴力描写を批判するシーンもジョークが効いてて好き。

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いたかわ

3.0陰謀論者が大好きだろうなぁ。

2022年2月5日
Androidアプリから投稿

陰謀論者が大好きそうなカルト映画。昔からマニアが度々言及するので私も観ましたが、マニアが喜ぶだけで十分かもしれない。楽屋落ちにはガッカリしました。ユダヤ陰謀論と結び付いて語られることも多いらしく監督がそれを制止したらしい。

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タカシ

4.0【人間に姿を変えたエイリアン達の静かなる地球制服を目論む姿を描く。不穏な音楽に併せて映される無自覚に洗脳される人々の姿も印象的な、カルトSFの秀作。】

2022年2月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

ー エイリアン達のサブリミナル効果による姿なき地球侵略。
  仕事を求めてある町に流れ着いたネイダは、教会で奇妙なサングラスを発見。
  それを通して見えた、人間になりすましたエイリアン達の姿。

  現在見ても、全く違和感なく魅せられる格差社会をテーマ性にしたセンスにも感服である。
  そして、エイリアンではないが、氾濫するCMを始めとしたある意味、様々なサブリミナル効果の見せ方も効果的で・・。

  ・新婚向け観光地の看板を、サングラスを通して見ると”妊娠して、結婚しろ”
  ・商品セールス看板を、サングラスで見ると、”買え!”・・・。

  CMに取り囲まれた生活をしている現代の我々も同じではないか・・。

  ジョン・カーペンターって、どれだけ先進的な思考と、映像感覚を持つ人物だったのだ。

  映像も、古臭くなく、現代でも十二分に受け入れられる映画である。

  今作が30年以上も前の映画という事にも、驚きである。-

■”ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022” にて鑑賞。

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NOBU

3.5今を表しているような…

2022年1月26日
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今の世の中を見ているような…エイリアンに囲まれてるのかなぁ?

3階から落ちてもかすり傷程度って…それはそれでかなりエイリアン。

拳で解決ですか?昭和の少年誌を見ているような…

以上ですかねぇ。

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Oyster Boy

4.0ここまで、〝今〟を予見していたとは‼️

2022年1月25日
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鑑賞方法:映画館

多様な視点でありながら、どなたのレビューからも〝これは必見〟という匂いがプンプンしていたので、本日初見。

ビックリです‼️
当時のレーガン大統領下の政治状況に対するメッセージを意図したものかもしれませんが、むしろ、今現在の状況のほうがより予見されていると感じました。

①いわゆるエスタブリッシュメント(体制側に属する人…政治家、富裕層、官僚組織で相応の決定権限を有する人など)と被支配者層とのあらゆる面での格差
②グローバリズムに基づくサプライチェーンも含めたネットワークシステムの影響の大きさ
③SNSが既に生活の一部、或いは個人のアイデンティティの一部になっている

②と③はかなり重複するので明確に分けられないかもしれませんが、このネットワークシステムは活用する人間側とネットワーク側の支配・被支配の関係性が曖昧というかどっちがどっちかもう分からなくなっているし、そもそも支配云々の関係自体既に成り立たない。
水や電気は無いと不便だし時には生死に直結します。
ネットは生死に直結することはあまり考えられないのに(緊急時の連絡手段となっているものは除く)、使えない時の不安は大きく、人によっては心の拠り所を失うほどの影響があります。

ネットワークシステムというのは、支配している主体が特定できないので、誰かひとりを倒すとか何かひとつを破壊すれば変えられる、ということはできません。
デス・スターを爆発させるほうがよほど簡単です。

この映画のラストは、ネットワーク支配の実態を可視化することと、被支配者側の人間に覚醒を促すことが、今できる精一杯のことだと教えてくれているようです。

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グレシャムの法則

3.5サングラスでエイリアンがわかるという設定が秀逸!

2022年1月25日
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鑑賞方法:映画館

数年前友人と飲んでいるときに「ゼイリブ」の話になったことがある。プロレスラーと黒人の殴り合うシーンが好きだという友人に対して、そんなシーンあったっけ?と応じる私ともう一人の友人。「ヒドゥン」と間違えてるんじゃないかとかいろんなことを言い合ったのだが、ネットで検索して「ゼイリブ」の主演はプロレスラーだったことがわかり論争に決着がついた。ゴールデン洋画劇場で観た記憶はあったが、かなり曖昧だったってことだ。
だからというわけではないが、今回ちゃんと観てみようと思った。相当昔の映画だからツッコミどころが多いのは仕方ない。やはりすごいのはエイリアンの造形とサングラスをかけるとエイリアンの正体がわかるというしかけ。さらにこのサングラス、エイリアンの正体だけでなく、様々な媒体の裏に隠されたメッセージも見えるという高性能。理屈も何もわからないし説明もないけど、これだけでこの映画は大成功と言える。
ラストもそんなんで解決する?って感じなのだが、それもまたB級っぽくていい。富裕層に支配されている現代社会を批判した作品とも言えるが、余計なことは考えずにB級SF映画として楽しむのが正解。こうなったらサブスクで「ヒドゥン」も観ないと!

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kenshuchu

4.0とても良い映画

2022年1月21日
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鑑賞方法:映画館

『JOHN CARPENTER RETROSPECTIVE 2022』にて鑑賞。

今回公開される3作品の中で唯一観たことがある作品。昔に観た時は、あまり期待しないで観たせいか、結構面白かったという印象があったけど…今回は、まあこんなもんかなぁと(笑)
作品の公開から何十年も経ち、今では映像技術が数段に進歩したことを改めて実感しました。

それでも、この作品のストーリーというか、SF物としては、アイディアは今でも結構斬新。

特殊なサングラスを掛けると、宇宙人の正体がバレる(笑)…我々人類は知らず知らずのうちに洗脳され、"奴ら"の思い通りに生かされていた…素敵ですね、この設定!そしてストーリー!笑

*主演のロディ・パイパーは当時人気のプロレスラー。スコットランド出身というギミックを与えられ、タータンチェックの民族衣装を着てバグパイプ担いで入場していたと思います。また、来日した事もあったと思いますが、あまりよく覚えていません(笑)
途中、黒人の仕事仲間と派手に喧嘩をする場面があるんですが、プロレス技満載で、彼のファンへのサービス?…やたらと長かったですね、この場面(笑)

*3作共通パンフレットは1300円也。昔懐かしいVHSビデオ用パッケージを思わせる、立方体の紙箱に入っています。ポストカードが15枚ぐらい?入っていて、肝心の解説は"かなり"少なめです…なんでやねん!

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stoneage

5.0どう考えてもプロレスが長すぎる。

2022年1月20日
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だけど最高に面白くて見入ってしまう!!!

簡単なあらすじは理解した上での鑑賞。

仕事終わりに見たので一瞬うとうとしてしまい…
しまった!と思ったらネイダはまだまだ
全然サングラスを手に入れる感じもなくて
ホッとした後、そのテンポ感に笑ってしまった。

サングラスをかけるかけないでの
大きな男2人の5分近くの死闘。

一体わたしはを見せられているんだ?

監督プロレス好きすぎるでしょ!

思わず笑いがもれてしまったのはわたしだけじゃなく
会場が一体感に包まれた瞬間である。

あ、わたしは結構
ラストカットが好きでした。

ゼイリブごっこするために
いい感じのサングラスでも買うか──!

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ユリ

4.0いつまでも新しい

2022年1月17日
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鑑賞方法:映画館

 物語は前半と後半に分かれていると思う。前半は主人公が摩天楼の林立するニューヨークと思しき町にやってきて仕事を探し、ホームレスが集う場所を紹介されて寝場所にありつく話だ。盲目の牧師が演説するシーンが後半への伏線となる。
 後半は襲撃された教会の隠し場所からサングラスを見つけるところから始まる。ただのサングラスかと思っていたのが、かけてみると見えなかった本質が見えてしまう。そこからは怒涛の展開で目が離せないが、取っ組み合いのシーンが長くてひと息つける。

 説明はないが、主人公もフランクもベトナム帰りではないかと思う。武器の扱いといい、徒手の格闘といい、素人ではない。ベトナム戦争の終結が1975年で本作品が1988年、主人公が町に来る前に別の場所で10年働いたと言っていたから、辻褄も合う。
 後半に登場するメグ・フォスターが演じたホリー・トンプソンの眼が恐ろしい。妙齢の女性にしては胆の据わり方が尋常ではない。BMWに乗って山の手に住む金持ちだ。ただのOLの筈がないのだが、サングラス越しの顔だけで分別する主人公はそこに気がつかない。

 納得のいくラストシーンはとてもスッキリするのだが、ベトナム帰還兵の問題や格差の問題、差別的な政治、放置されるホームレスなど、カーペンター監督が本作品に盛り込んだテーマは未だに解決を見ていない。そしてこれからも解決することはないと断言できる。
 それは人間が本質的に他人を差別し、迫害して、自分の利益を確保しようとするからであり、強者同士が徒党を組んで弱者から搾取する傾向にあるからだ。そういう時代が続く限り、本作品はいつまでも新しい。

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耶馬英彦

3.5殴り合いわかり合う

2022年1月16日
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主人公がなかなかサングラスかけないのでヤキモキした。

殴り合い長すぎて笑った。
しかもサングラスかけるかけないの闘い。
背骨が折れてしまわないかハラハラ。

そもそもエイリアン?だからっていきなり撃ち殺していいものだろうか。。

もうすぐ2025年で征服完成ですね。

音楽の使いが良い!

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hyvaayota26

4.0何度観ても面白い。

2022年1月16日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

ジョン・カーペンターレトロスペクティブ2022にて劇場鑑賞。

言わずと知れた熱狂的支持者も多いホラー映画のカリスマ監督ジョンカー・ペンターの意欲作。
有楽町の某映画館でJ・カーペンター3作の4Kレストア版を3週に渡り上映しているが、驚くべきことに当館は2K上映であったw。

リアルタイムでの劇場鑑賞以来、実に数十年ぶりの鑑賞だったこともあり、サングラスを手に入れた後の展開をすっかり忘れており、プロレス時間の長さと思っていたよりちゃんとした結末だったことに改めて驚かされた。

本作は代表作「ハロウィン」や「ニューヨーク1997」などとは少し違い、珍しく格差社会やメディアの在り方などへのアンチテーゼが各所に見てとれ、大きくは宿無しの日雇い労働者と裕福な上流階級に擬態したエイリアンとが戦う構図となっているので面白い。

特殊なサングラスをかけると人間とエイリアンの判別ができ、街の看板や雑誌を見ると隠された洗脳メッセージを読む事ができるという、それだけでも勝ち確定の最高のオモシロ設定である。

J・カーペンターは自ら映画音楽を制作することでも有名で、劇中の西部劇風挿入曲もずっと耳に残る程印象的であり、その多才さを感じる事ができる。

主演はロディ・パイパーという当時の人気プロレスラーのため格闘シーンに時間をふんだんにかけているが、あまりにも長い時間なので途中で飽きが来てしまうことくらいがマイナスポイントで、総じて非常に面白く誰でも楽しめるようなエンターテイメント作品となっている。

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カツベン二郎

5.0以降のSF映画に多大な影響を与えた、最初から最後まで強烈な社会風刺に貫かれた社会派SFスリラー

2022年1月16日
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鑑賞方法:映画館

『ジョン・カーペンター レトロスペクティブ 2022』での鑑賞。何度もビデオで観た作品ですがスクリーンでの鑑賞は初めて。強烈な社会風刺で幕を開ける本作ですがそもそも主人公のネイダがデンバーで10年務めたのに失業してLAまで流れてきたホームレスだという設定が痛烈。社会にコテンパンにしてやられているのにそれでもまだ社会に貢献するセカンドチャンスを求める極めてピュアで誠実な人。それが教会で手に入れたサングラスで世界が見えるようになった途端に世直しをしようと銃を取るわけですが、これって観客側からはヒーローに見えますが何も知らない劇中の人物にしてみればどうかしている男以外の何者でもない。ネイダ自身もサングラスをかけることで頭痛と引き換えに高揚感を得ているのでこのサングラスで何が世界を支配しているかが見えるようになるというのは教会で神の啓示を受けるのと同じ。サングラスをかけるかけないでネイダとフランクが延々路地裏でケンカする様を笑っちゃうくらい執拗に描写しているのも、真実を知る者とそこから目を背けたい者や自分が信じているものだけを信じたい者との断絶を表現しているもので、ブレインバスターやバックドロップ、金蹴り等でズタボロになりながら戦う二人の姿に滲む滑稽さに痛烈なメッセージが見えた気がします。ホリーがネイダを窓から突き落とすのを真上から撮るカットの鮮烈さもリストア版では冴え渡っていて、何度も観ているシーンなのにうわ!っと声を出してしまいました。最初から真実が見えているのが盲目の宣教師であるという皮肉も強烈、本作における“They”は本作公開から30年以上経った今もまだ世界を支配している現在が本当の意味での本作のオチなのかも知れません。

改めて本作が様々な作品に影響を与えていることを実感できたのも再鑑賞の醍醐味でした。まずは『マトリックス』、最近の作品だと『フリー・ガイ』。意外なところだと強烈なラストカットはイリヤ・ナイシュラー監督の『ハードコア』で引用されていることに気づきました。SFスリラーというよりも終始社会風刺に貫かれた底意地の悪いコメディに近い。そういう意味では『ドント・ルック・アップ』も影響下にあるように思いました。

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よね

4.0【中心と周辺】

2022年1月16日
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先般、アメリカで問題になっている陰謀論の中心・Qアノンの大元の発信者が日本の北海道札幌市に居住していて、アメリカ人男性の名前も特定している記事を読んだ。22年の中間選挙で、共和党の上院候補として立候補するのではないかと報じられていた。

この作品は、こうした陰謀論者が喜びそうな内容なのだけれども、ロディ・パイパー演じるネイダが、それらと戦う者だとすると、如何にも短絡的で感情的、行き当たりばったりの無計画で、先を見通すことのできないマヌケな感じだ。

僕は、影で世界を操ろうとするディープ・ステートがあるとか、陰謀論者ではないのだけれど、国際政治学の世界には、搾取と貧困と云う問題を明らかにしようとする学説があって、これを曲解すると、また陰謀論者が喜びそうな内容かもしれないと、ふと考えたりした。

国際政治学を勉強していると、中心周辺理論(Center とPeriphery の頭文字を取ってCP理論ともいう)に触れることがある。

世界には経済的に豊かな中心(つまり先進国)と、中心に搾取され貧困が放置されている周辺(発展途上国)があるというのだが、更に、中心(先進国)には、更にその中心に属する階層(政治家とか企業とか超富裕層)と、それに付き従う周辺と考えられる階層(一般市民)が、周辺(発展途上国)には支配層である中心(支配階級)と、それに付き従わざるを得ない階層の周辺(一般の人々)があって、中心(先進国)の中心と周辺(発展途上国)の中心は結託して、それぞれの一般市民や、一般の人々を搾取し、特に、発展途上国の一般の人々は貧困に追いやられる構造になっているというものだ。

この映画は、アメリカが舞台なので、先進国の話になるのだけれども、一般市民の中にも選ばれて、支配層然と振る舞い、一般市民の搾取はやむを得ないと考えるものがいたりして、この国際政治学のCP理論と似ているななんて考えた。

この作品には、ちょっとした思い出がある。

当時、付き合っていた彼女と別れたばっかりで、新しい彼女と付き合い始めたのだが、その女性は実は、その元カノの友人で、どちらかと云うと身体を重ねることが多い関係だった。

その彼女が、この「ゼイリブ」を観たいと言ったのだ。
当時は、ジョン・カーペンターなんてホラー映画監督じゃんとか、少し軽い感じで考えていたし、日本とタイトルについても、平坦にゼイリブって発音しないで、”ゼイ”・”リブ”ってちゃんと言えとか、色々いちゃもんをつけたい頃だった。

しかし、映画を観て、ちょっとゾッとした。

僕は、この彼女と付き合いながら、僕が元カノを忘れられないでいると見透かされているような気がしたからだ。

まあ、何十年も経って鑑賞すると、いろんなスキルが身に付いて、あれこれ様々な角度から映画を観れるようになるもんだと改めて思う。

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ワンコ
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