「天秤」戦慄の絆 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
天秤
鬼才デヴィッド・クローネンバーグによる異色サスペンス。1988年の作品。
名産婦人科医として誉れ高いエリオットとビバリーの兄弟は一卵性双生児の双子。
幼い頃から何をするにも一緒で一心同体だった2人だが、ある一人の女性の登場によって…。
例えるなら、天秤。
釣り合っていた秤が些細な衝撃によって均整が崩れ、中身がこぼれ落ちる。
危うい精神のバランスと崩壊、双子の不可思議な繋がりを、妖しい夢でも見てるような陶酔感の中に描いていく。
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」など近年の力作もイイが、本作のような奇々怪々な世界観こそクローネンバーグの真骨頂。
自信家の兄と繊細な弟、性格の違う双子を巧みに演じ分けたジェレミー・アイアンズが絶品!
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