「ホモソーシャル」戦場のメリークリスマス ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
ホモソーシャル
以前ビデオで鑑賞しましたが、リバイバル上映にて劇場で再鑑賞しました。ビデオよりも劇場で鑑賞した方が100倍位良かった。
現実なのか幻なのかも良く分からない、不確定要素だらけの戦場がまるで茶番劇の様で、こんなことをまともに信じてこんなことをまともに実行していた当時の日本軍がいかに狂っていたか。
でも、彼らの狂気も正気になる瞬間があって、ヨノイはセリアズと、ハラはローレンスと会った時だと思いました。ヨノイの思い描く美学にセリアスはピタリとハマったのだろうし、ハラの人懐っこい性格がゆるりとしたローレンスの性格に合っている様に見えました。お互いを人間と思わない環境で人間と認識する瞬間。
正気というのは、究極のところ、人間を人間だと認識ができる状態なんだと思います。
ハラキリから、生き埋めまで、ホモソーシャルの世界では、ホモセクシャルへの差別は実に異常です。このホモセクシャルへの差別の異常さは、逆に男性の本能の中に少しでもホモセクシャルの種があるからではないでしょうか。
ホモソーシャルの中では禁忌なはずなホモセクシャルな感情が、微妙なタッチで描かれていましたが、確か、戦国時代は戦場でのホモセクシャルは一般的にありましたよね。
ホモセクシャルが禁忌になったとしても、男性が男性に対して感じる慕情やエクスタシーは、隠しきれないし抑えきれない。そんな秘めた感情を日本的にシャイに描ききった作品だと思います。大島渚のボーイズラブ。私も男性だったら、もっとエクスタシーを感じたかもしれない。
今晩は。いつもありがとうございます。
今作は初見時から、多大なるインパクトがありました。大島渚監督の“御法度”を観ていた事と、私自身が高校の同性の級友から迫られた経験からです。(前にも書いていたらスイマセン。)
自身の経験では生理的に受付無かったのですが、映画で観ると”そりゃ、デヴィッド・ボウイと坂本龍一だからな・・”と思いましたし、坂本氏が逝去された際に(私は、今作のMIPだと思っています。)コメントした北野武氏が”もう、オイラしかいなくなったよ・・。”という言葉が身に沁みました。では。返信は不要ですよ。