「異端にして最高峰、愛と縁の究極の形」戦場のメリークリスマス たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
異端にして最高峰、愛と縁の究極の形
全てを咀嚼出来なかった自分を悔やむ。それ程まで大きなモノを見ているが故だと思い込みたい。大島渚監督による、人間の痛みや正義の奥の奥を観た。
ジャワ島の戦禍で、日本兵と捕虜による究極の愛と縁を描く。「Mr.ロレンス」は何者なのかすら知らなかったので、捕虜として囚われた通訳だったこと自体衝撃だった。そんなロレンスと親しい距離にいるハラはビートたけし。人間の倫理観も欠けたような言動も目立つが、上には従順。また、坂本龍一も昭和顔のイケメンでビックリ。
デヴィッド・ボウイもそうなのだが、表現者たちが大島渚監督の元で演技をするという貴重さと凄みが、特異な作品の色を出している。そこにある痛みは直接的で、今なら間違いなく躊躇するような描写に思わず体が強張る。
大学の制作で、大島渚監督の日テレのドキュメンタリーを見たことがあるのだが、その痛みや怒りを共に寄り添い、拡声させるような映像だった。今作も単にドラマとして魅せるのでなく、それ以上に突きつけるような重さが来る。怪物のような作品に出会った。
最後のセリフと坂本龍一の音楽が頭にいつまでも残る。劇場で観てよかったと本気で思える、異端にして最高峰の作品。
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