「橋がゆれる。ゆれる事実。 兄妹の関係がゆれる。 兄ちゃん、うちに帰...」ゆれる どドンとすさんの映画レビュー(感想・評価)
橋がゆれる。ゆれる事実。 兄妹の関係がゆれる。 兄ちゃん、うちに帰...
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橋がゆれる。ゆれる事実。
兄妹の関係がゆれる。
兄ちゃん、うちに帰ろう、と叫ぶ猛。
それを見つけて微笑む稔は、どんな感情だったのだろうか。
あの微笑みは、橋を踏み外した猛をつなぎとめたようにも思える。壊れかけていても、まだつながったままの橋が二人をむすぶ。
橋は二人の関係を象徴している。橋は対等である必要は無い。どちらに傾いていても、橋は谷をつなぐ。
稔の人生を奪い、七年を奪い、智恵子を奪った猛も、繋がっている。
私が一つ疑問なのは、事件の時、橋での会話が猛に聞こえていたのかどうかという点だ。「あなたやお母さんみたいに生きたくないのよ」と叫んだ智恵子は猛の妄想だったのだろうか。だとしたら恐ろしい。しかも、事件直後、猛は爪痕のついた稔の腕をシャツで覆っている。智恵子の腕を掴んだという事実を稔が認識しにくくするため? 意図的だったのだろうか、ただの考えすぎなのか。
音の工夫が面白かった。事件の時も沈黙で、こちらに想像させる作りだった。自然音もBGMも良い。家に帰ろうという言葉には感動した。
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