「書記官は安藤玉恵」ゆれる いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
書記官は安藤玉恵
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映画を本格的に観始めたか、未だそういう思いに抱かなかったのか、曖昧な時期の作品で、でもエヴァーグリーンな作品として一般的に評されている作品だから題名だけは記憶にあった オダギリジョー、香川照之、その他知らない人はいない程の名優ばかりが軒を連ねる、今から見れば百花繚乱な俳優のオンパレードな作品であり、今現在、この人達をキャスティングするとなったらどれだけのバジェット作品になるだろうと恐れ戦くラインナップである
ストーリーテリングも素晴らしく、吊り橋の如く揺れる不安定さをこれでもかと表現したシナリオにぐうの音も出ない出来映えである
長男として役割を演じ続ける事、次男だからと好き勝手に生きて、しかし才能に恵まれた事、そんな兄弟の愛憎が迸るシーンの連続にこれ以上のない"痺れ"を体験したのである 真木よう子の青さ故のエロティシズムをキチンと包摂するオダギリのレベチの官能美 それとは逆の香川の屈折した粘着性漂う演技 ドロドロとまるで魔女が調理する釜で煮染めた毒を醸成するが如く、法廷劇が延々と続いていく 蟹江敬三、木村祐一の芸達者振りはその毒に添加物をガンガン放り込む 尊敬と嫌悪をこれでもかとジャブジャブ投下する希有な内容に、逃げたくなる想いをグッと堪えての上映時間であった
同じ精子と卵子を一にしてもこれだけ人生に共通項が見付からない方向 それでもお互いが血を意識し続ける限りその繋がりは切断できない ラストのバス停の件は唯々二人に幸有れと願うばかりである
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