セルピコのレビュー・感想・評価
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究極のKY警官
「セブン」の中で、ブラピが自分の事を「刑事セルピコだ」と言うセリフがあるが、セルピコという名前は真面目な警官の代名詞となっているのです。
本作は、正義を貫き通し、顔面に銃弾をうけた実在の警官フランク・セルピコを描いている。
70年代のニューヨークは世界で一番危険な都市と言われるほど治安が悪く、そんな地区で安い給料で働く警官達が、汚職に手を染める気持ちもわからんでは無いが、そんな中でも自分の正義を曲げない、妥協しないセルピコはやはり素晴らしい!
セルピコを単なるヒーローとしては描かず、孤立していくなかでイラだち、恋人に当たり散らしてしまう人間臭いところも見せる事で、普通の人間が必死で正義を貫こうとしているのが伝わってくる。
自分は空気の読めない人が嫌いだが、警察機構においては、彼のような空気を読まない、悪に流されない人間が絶対に必要で、今の不祥事だらけの日本の警察にも、沢山のセルピコが出てくる事を願うばかりです!
正義を信じる男の物語
正義にあこがれ警察になったセルピコ、しかし警察内部は汚職にまみれ、賄賂が横行していた…。
味方などほとんどいない状況で戦い続けるセルピコの孤独、憤り、悲哀の表現が見事。助けを得られたと思っては裏切られての連続で、セルピコが感じた不安や憤りは痛いほど伝わってくる。
テーマとしては重めだけど、観た後すっきりと終わるしテンポが良くて観やすいと思う。これがノンフクションだっつうからすごいね。
腐敗した警察
正義感の強いがゆえに変わりものと呼ばれるセルピコ。
彼は、堂々と賄賂がはこびる職場に嫌気がさしているが、何度も現状を上司に訴えても、改善しない。
ドキュメンタリーのようなリアリティーで身に迫ります。実際の話を土台にしているみたいですね。
理想と現実に戸を立てるのはいつだって人です。
勝手に戸を立てて、実際はそうはいかないんだよと
物知り顔でなだめてきます。
それを打ち破るには勇気と覚悟が必要。
その勇気が出せるのがセルピコ。他の刑事は流れに流されて・・・
唯一、積極的に相棒になってくれた刑事はいい人でしたけど。
フランクと呼んでいても字幕でセルピコって出ているのが気にかかりました。
そこはフランクでもいいんじゃないかな・・・
Σ(正しい≠幸福)
1973年イタリア・アメリカ合作映画。130分。今年18本目の作品。「旅立ちの時」にすっかり魅了されたシドニー・ルメット監督の作品。子供のころ、近所にあったマンガ古本屋の名前が「セルピコ」でした。その店主は本作がとても好きだったのです。
内容は;
1、正義感の強い主人公・セルピコは念願のNY市警に配属される。
2、しかし、そこは賄賂と汚職に染まった世界だった。
3、悪に染まることを頑なに拒否するセルピコは、次第に孤立していく。
心の中の崇高さを体を張って守り続けるセルピコは故に社会集団の中で馴染むことができず、しまいには恋人にもふられつづける。彼は「どうして誰も俺のことを理解してくれないのだ」と憤り、理解を示す数少ない仲間ですらも遠ざけていくようになる。
観ててとても辛くなるリアルな展開。なにが辛いかというと、セルピコのあまりの正義感の強さと、それを貫く姿勢が。そして、そんな主人公の姿に抵抗感を感じながらも、嫌いになりきれない自分がいました(友達にもなれませんが)。
ルメット監督作品はまだ3作しか観てませんが、全作に共通するこのやりきれない感覚は、必ずエンディングまで引きずられ、最後には気分が重苦しくなってなんの言葉も出てこなくなります。
本作のエンディングは希望というより、深い悲しみがありました。そして、そのことに関して、誰とも話し合いたいとは思えなかったです。
1回は必ず観た方が良い作品です。
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