「Σ(正しい≠幸福)」セルピコ あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
Σ(正しい≠幸福)
1973年イタリア・アメリカ合作映画。130分。今年18本目の作品。「旅立ちの時」にすっかり魅了されたシドニー・ルメット監督の作品。子供のころ、近所にあったマンガ古本屋の名前が「セルピコ」でした。その店主は本作がとても好きだったのです。
内容は;
1、正義感の強い主人公・セルピコは念願のNY市警に配属される。
2、しかし、そこは賄賂と汚職に染まった世界だった。
3、悪に染まることを頑なに拒否するセルピコは、次第に孤立していく。
心の中の崇高さを体を張って守り続けるセルピコは故に社会集団の中で馴染むことができず、しまいには恋人にもふられつづける。彼は「どうして誰も俺のことを理解してくれないのだ」と憤り、理解を示す数少ない仲間ですらも遠ざけていくようになる。
観ててとても辛くなるリアルな展開。なにが辛いかというと、セルピコのあまりの正義感の強さと、それを貫く姿勢が。そして、そんな主人公の姿に抵抗感を感じながらも、嫌いになりきれない自分がいました(友達にもなれませんが)。
ルメット監督作品はまだ3作しか観てませんが、全作に共通するこのやりきれない感覚は、必ずエンディングまで引きずられ、最後には気分が重苦しくなってなんの言葉も出てこなくなります。
本作のエンディングは希望というより、深い悲しみがありました。そして、そのことに関して、誰とも話し合いたいとは思えなかったです。
1回は必ず観た方が良い作品です。
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