「報われない」セブン うyさんの映画レビュー(感想・評価)
報われない
bad end of bad end.
7つの大罪になぞらえた殺人を繰り返すサイコキラーと、それを追う刑事たちの物語。ブラッド・ピット演じるミルズ刑事と、モーガン・フリーマン演じる相棒のサマセット刑事は、次々と起こる猟奇的な殺人事件を捜査する。
最初の犠牲者は強欲(Greed)の弁護士。彼はシェイクスピアの『ヴェニスの商人』に登場する”1ポンドの肉”の寓話になぞらえ、身体の一部を切り取られて死亡していた。次に殺されたのは、暴食(Gluttony)の男。彼は無理やり大量の食事を詰め込まれ、内臓破裂で命を落とした。
続いて、ドラッグに溺れ、暴行や盗難を繰り返していた男が怠惰(Sloth)の罪として罰を受ける。彼は1年間ベッドに縛り付けられ、生ける屍のような状態にされた。さらに、娼婦が色欲(Lust)、モデルの女性が傲慢(Pride)に見立てられ、それぞれ凄惨な方法で殺害される。
犯人が残した大罪はあと2つ。刑事たちはさらなる殺人を阻止しようとするが、犯人ジョン・ドウは自ら出頭し、「ある場所へ行けば死体の場所を教える」と取引を持ちかける。
2人が荒野へ向かうと、そこに届いたのはミルズ刑事の妻の生首だった。ジョン・ドウは嫉妬(Envy)に駆られ、ミルズの幸せな家庭を壊すことで自らを罰した。そして、その挑発に乗ったミルズは怒り(Wrath)に駆られ、ジョン・ドウを銃殺する。
これで7つの大罪はすべて完結……のはずだが、どうにもスッキリしない。もしジョン・ドウが「嫉妬」の罪を犯したのなら、彼自身が嫉妬にふさわしい方法で殺されるべきではないのか? また、「怒り」を背負ったミルズ刑事は生きているため、彼の存在が”7つの大罪に見立てた殺人”として完結しているとは言い難い。
極めて悲惨な結末ではあるものの、ジョン・ドウの計画はどこか中途半端なまま終わってしまったように感じる。