「こんな諺がある:ハリウッド映画の描く日本はどこかおかしい。」ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな諺がある:ハリウッド映画の描く日本はどこかおかしい。
ポール・ウォーカーが出演しない第3作ってことが疑問だったのですが、勝負は下駄を履くまでわからないもので、最後の最後に意外な人が出てきたのでそれだけで満足。前作と同様、日本車をメインにした作品でしたが、今度は舞台まで日本に移してしまい、おかしな日本の描写は『キル・ビル』と同じく、千葉真一の登場で最高潮に達しました。最も不自然に感じたのはギャルたちでしたが、アメリカ人から見ると、隣の花は赤いと感じてしまうのか、アジア女性も日本女性も十把一絡げにしてしまったようです。
今回の主人公ショーン(ルーカス・ブラック)は、とても高校生には見えない風貌であり、正義感なんかよりも車を破壊するほうが好きで、少年院送りになるのをさけて引越しばかりしている男。まさに身から出た錆なのですが、禍転じて福と為したのか、無謀なレースのおかげで男の友情(刎頚の交わり)を見つけたようでした。日本にやってきて金も無く、無い袖は振れないはずなのにレースのために車を貸してくれるという男ハンが現れたのです。相手はヤクザの甥っ子ドンキー・コング。ドリフトなんて全く知らないので彼の足元にも及ばず、車はぶつけ放題。この最初のレースだけでなく、ショーンは剃刀の刃を渡るような運転ばかりで、いつ事故死してもおかしくないのに九死に一生を得てばかり。ドリフトを覚えたいという、好きこそものの上手なれというのが彼の座右の銘だったに違いありません。
柴田理恵や妻夫木聡など、日本人カメオも多数参加していたようですが、他にもストリートレースの烏合の衆に紛れて意外な有名人がいたのかもしれません。千葉真一のスキンヘッドの部下がジョー樋口に見えてしょうがなかったのですが、他人の空似だったのか・・・
東京でのロケと東京そっくりに作ったセット。どこまでが本物でどこからが偽物なのか、さっぱりわからないくらいにCGを織り交ぜ迫力あるスタントカーシーンの連続でしたが、監督のこだわりようも並大抵ならぬものがあったのでしょう。缶コーヒーの自動販売機やパチンコ屋が珍しかったのか、そればかりが強調されていたような気もしました。
しかし、鹿を逐う者は山を見ず。映像ばかりに注目していたら、とてもつまらないストーリーであると後で気がつきました。最後のレース行方も気になります。キングの座が三日天下に終わらぬように祈るばかりですね。
時系列では6作目の次になるストーリー。“ウワバキ”と“ドンキーコング”が記憶に残ります・・・