ヴェラ・ドレイクのレビュー・感想・評価
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絶望とか喜びとか、ハッピーエンドとかバッドエンドとか、そういう映画...
絶望とか喜びとか、ハッピーエンドとかバッドエンドとか、そういう映画的脚色のない、ただその時代にあった感情や出来事をなぞることの出来る作品。
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こういう時代もあったんだな……
お互いを暖かく包みながら仲良く暮らす一家の、誰よりも働き者で、心優しい母親が、非合法の中絶処置をしていたことで有罪になる、という話。
主人公ヴェラが私欲のためではなく、純粋に「困ってる人を助けるために」やっていたことで罰せられるのは、なんとも理不尽に思えた。
罰せられるべきは、むしろ、依頼者からお金を取り、ヴェラにはそのことを一切ふせていた仲介役のリリーだろう。
今ほど避妊の知識も方法も一般的ではなく、中絶が犯罪だった時代。
中絶がいいことだとも、簡単なことだとも思わないけど、例えば、レイプされた時、例えば、既に子供がたくさんいて、これ以上養えない時、女性に選択肢がないのは、やはり辛い。
ここで静かに描かれる家族のありかた、絆もリアル。
誰よりも信じていた妻・母が、自分たちには黙って法を犯し続けていたことを知り、動揺し、怒りを感じ、それでもその事実を受け入れていく。
ラストシーンのあと、あの家族は呆然としつつも静かに母親の帰りを待ったのだろうと思いたい。
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