トゥモロー・ワールドのレビュー・感想・評価
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とんでもないもの観ちゃった
BSプレミアム
なんの予備知識もなく「ゼロ・グラビティ」の監督の作品2006年とだけ
いきなしストーンズのルビー・チューズディが流れ「変だな?」とは思った
2027年近未来のSFなのにどうも未来感がないロンドン
なんと人類は生殖機能が退化しすでに18年間も新しい子供が誕生していなかったというのがこの話の始まり
子供ができないってこうなっちゃう?というくらい荒廃してて
(廃校が決まった高校の後輩のいない2年生みたいな感じかな?)
希望を失った世界に広まる暴力と無秩序・・・。移民、テロリスト
ここから戦いが始まっていくわけなんだけど
カーチェイス、射殺、その後の戦闘、そして出産シーンまでが長回しのワンカット
カメラのレンズには返り血まで付くリアルさなのに驚きおののいた…
とんでもないもの観ちゃったなって作品。
反政府活動の描き方はかなり上手
総合70点 ( ストーリー:60点|キャスト:75点|演出:85点|ビジュアル:80点|音楽:75点 )
閉塞感漂う社会で地下に潜り命の危険を感じながらその日を生き延びる主人公を描写する演出は、第二次大戦の抵抗運動家の姿を見ているようで、なかなかの緊迫感と退廃的な雰囲気が溢れていて質が高かった。物語を理解することよりも、子供を守ることによって子供の大切さと人が子供に抱く愛情を、登場人物の命懸けの行動から感じとる作品かな。
だけどやっぱり物語は説明不足でわかり辛い。犬猫の子供は普通に生まれているようだし、社会は秩序を失いこれほどにまで荒廃していて、いくつかの組織が登場する。雰囲気重視なんだろうが、もっと状況説明は欲しいし、謎がそのまま残されているのはすっきりしない。
人類への罰と男への試練
僕がこの映画を観て思う事はふたつある。
ひとつはこの映画は「あえて」説明を省いて、記号は徹底して記号として描いている。
つまり、かなり「映画的」だと。
例えばジュリアン・ムーアという大女優をジュリアン・ムーアとして否が応でも認識させようとしている。役名をジュリアンにしている時点でそれは一目瞭然であり、「こういうスターもあっけなく死ぬんだよ」と描く事で、この映画の特徴である「持続した時間の中で起きる物事のあっけなさ」をより際立たせている。
その上、物語の鍵であり、人類の希望の鍵となる人物の名前を「キー」とするなど、恥ずかしいぐらい、わかりやすいものはわかりやすく、記号的にしている。
要するにこの映画は始めから「ストーリー」を語ろうとはしておらず、その記号ひとつひとつが指し示す物こそが重要なのだという事ではないだろうか。
それに関連してもうひとつ、こちらが本題なのだが、この映画はSFではなく実はファンタジーではないのかと思っている。それは何故か。
「人類」の子どもが生まれなくなった世界。
その「人類だけ」という部分を強調する存在として、「犬」がこの映画にはしつこいくらいに出てくる。
仮に18年間、「地球上の生物」すべての繁殖が止まっているのであれば、寿命の短い犬なんかとっくに絶滅しているはずであり、劇中にも登場する、つい最近生まれたような子犬がこの世界に存在している事など、ありえないからである。
つまり、この異常事態は決して疫病の空気感染や、環境汚染などが原因ではないという事を示している。
「女性が服用する薬の副作用や、未知の病の流行によるものなのではないか」という考え方も充分出来る。実際それを匂わすセリフも劇中で登場する。
しかし僕は、そんな現実的な問題ではなく、もっと超自然的な力が働いた出来事のような気がする。
簡単に、物凄くアホみたいに言うと、「これ神様のしわざでしょ!」という事である。
前提として、この作品は「有神論」ありきで撮られているように思う。
まずこの映画は「太陽」が常に主人公、ないしはその協力者の背後に、まるで「狙いを定めて監視」しているように見え隠れする。
僕はこの太陽は、メタファーでも何でもなく、「神」そのものなんじゃないかと思った。
これらの結論に至った根拠は一応ある。まずは主人公の名前「セオ」は、神を表す「ソー」の別の呼び方であり、レジスタンスである「FISH」の名も恐らくは聖書からの引用であり、見当違いでなければ他にも細かい引用は色々ある。
そして最初に説明した「人類だけ」という部分の説明に執拗にこだわっている理由。僕はここが本当に引っかかる。
それを踏まえて考えると、こんな結論が出た。
この世界には「神」がいる。そしてその神は人類に「罰」を与えた。それが何の罰かはどうでもいい。環境破壊でも何でも。
とにかく神はこの世界から人類を減らそうとした。巨大隕石や大津波なんかの災害を使わず、じわじわと。
そして人類が罰を受け、打ちのめされ、ある程度荒廃した時点で、神は別の世界を作ろうとした。
そして「神」の名を持つ主人公に「試練(テスト)」を与えた。わかりやすく言うと、ジム・キャリーの「ブルース・オールマイティ」みたいなイメージだ。こっちは全知全能の力などくれず、ただのオッサンのままなんだけれども。 ともかく、新しい世界を創る「鍵(ヒロインのキー)」を(天地創造に費やした期間とは別の)明日の世界まで届けさせる試練であり、それをクリアしたあかつきには「天国」という唯一無二の楽園へと行き、「明日の世界」の神となれる(神は主人公が死ぬと知っていたのかもしれない)。
「キー」とは新しい世界の鍵であると同時に、セオが天国に行き、神への扉を開ける鍵という意味もあるかもしれない。(この「有神論ありき論」で考えた場合、その方が面白いじゃないですか。)
その一部始終を神は太陽の姿で、あるいは光の姿で静かに見届け、見守っていた、というような話であり、立派なファンタジーなんじゃないかと思う。神様ひどす。
こんなひねくれた、こじつけだらけの話を妄想したくなるぐらい素晴らしい作品です。
ちなみに僕は神様を冒涜しているわけでも、神様を崇拝している方々を侮辱しているわけでもありませんので、あしからず。
赤ちゃんが生まれなくなった世界
セオと一緒に動くカメラ映像、時折、自分がその場に入り込んだんじゃないかと思えるカメラワーク。それが私を物語のなかに強烈に引き込む。緊迫感が半端ない。物語を理解する、きちんと説明する、そういうところではない何かを感じとりたい作品。赤ちゃんを抱きしめ進む二人をじっと見守る兵士たち、刹那、銃弾が飛び交う元の世界に逆戻る。その対比が美しく描かれている。そのシーンだけでも見る価値がある。
絶望から希望、そして未来へ
息子を亡くしたセオとジュリアンの夫婦に何があって別れることになったのか?ジュリアンは何故反政府組織のリーダーとなったのか?反政府組織の中の意見の対立とは?ヒューマン・プロジェクトとは何なのか?
物語の前提となる世界観については、多少説明不足と感じる部分もあるが、観終わってから考えてみると、これは物語をなるべくシンプルにする為に意識的に為されたことだったのではないかと思う。
子どもが生まれなくなり荒廃した世界で、最年少者がファンに刺殺されるという、いわばまたひとつ希望が失われた物語の冒頭から、新たな命、希望が次世代に託されたラストまで、この新たな命、希望を守るというシンプルさが物語の神話性を高めていると思う。
シンプルな展開の中で、ストーリーの起承転結に配置された長回し(に見えるように撮影された)の四つのシーンが効果的で、みどころになっている。
子供という希望
子供が産まれなくなった世界。しかし、唯一妊娠した少女が現れる。
面白かった。世紀末の世界、その中で必死に生きる人間が良く表現されていた。
子供という存在の持つ大きさ、希望に気づかされる。
カメラを切らずに撮る手法?を使っている事は見る前から知っていたが、それがここまでスリリングで、緊迫感を与えてくれるとは知らなんだ。
無音の時間を印象的に長くしてたり、撮り方が上手い。
骨太な映画
すごく臨場感あふれる映画でした。
後半の紛争のシーンはプライベートライアン以上の迫力を感じました。
登場人物がどんどんいなくなる展開は悲しかったです。
主人公の動機が自分にはわかりづらかったかなあ。
Code46のようなちょいSFせつない系を予想してたら全く違う映画で驚きました。
トゥモロー・ワールド感想
人類に生殖機能が無くなり、世界から子どもが居なくなるという設定が面白い。ただ、その世界が想像出来なさ過ぎて、人類最年少の子どもが死んだときの世の中の嘆きっぷりがやり過ぎな感じがした。いくらなんでもこんなに世界中が嘆くのか?と思ってしまった。でも、だからこそ終盤の、赤ちゃんを抱いて兵隊の間を歩いていくシーンがとても魅力的。ジュリアンが撃たれる車のシーンはカッコいい。さすがキュアロンって感じ。外人はみんな収容所に連れて行かれるという設定もあったが、これはアウシュビッツと変わらないのではないかと思った。歴史の知識が豊富ではないから、少し難しいとも思った。
見所たくさん
この映画を知ったのがつい最近で、一気に見た。
発想が面白い、そんでもって途中からカットの長さに何度もえ、え、ってなる笑
メッセージ性が非常に強い。命、人間、内戦、欲望…。壮大なテーマを壮大にやってのけた。
なにしろ長回しということはあんだけ長いセットを、計画的に、計算して撮っているという事。この団結力はすごい。かつての黒澤映画を思い出させる(ニュアンスは全然違うけれど、あの監督のスタッフと役者を極限まで緊張感を煽る技術はすざまじかったね笑)
確かに、物語に集中するとカットなんて気にならなくなってくるものだけれど、あるときはってなるものです、あれ、これさっきから回しっぱじゃない?
ただ一点、
ちょっと話が分かりにくいかな。
根本的に、この世界観の理由が描写されていない気がする。ちらっとしてあった気もする、でもやっぱり、正直ちょっと理解しにくい。オチも尻窄みかもしれない、燃え尽きた感。
メイキングでちょいちょい言ってるので、そっちも見れば映画ってすげーってなるかも笑
話が見えないってのが正直なところ
戦場のリアル感だけが救い。
セットといい金かけてるなぁ。
でもね、まず
脚本わかりづらいなぁ。
ストーリー展開や背景の細かいプロットが
足りずとにかくわかりづらい。
せっかくのコンセプトぶち壊しって感じです。
全然面白くなかったかな。
まあ、あくまでも個人的な感想ですが。
生命の神秘、8分間の衝撃
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のアルフォンソ・キュアロン監督による近未来SFサスペンス。
舞台となるのは2027年、原因不明の女性の不妊が急増し、子どもが生まれなくなって18年が過ぎた。世界にはテロや内戦が頻繁し、国家は壊滅状態に陥る。唯一、強力な軍隊によってイギリスがぎりぎりの治安を守っている状態だ。そんな中、主人公の官僚にの前に反政府組織のメンバーである元妻が現れる。聞けば、彼らが保護する移民集団の一人が子どもを妊娠したという。
監督のアルフォンソ・キュアロンといえば、『ハリー・ポッター』の第3作目の監督を務め、シリーズをよりダークにした。この監督の演出が冒頭からショッキングだ。
序盤から重要人物が死に、ラストでは8分間ノーカットのシーンがある。これが非常に迫力がある。
まさに市街戦の戦い。その中をさまよう主人公を、手持ちカメラが追う。このシーンだけでも見応えがある。
人類最後の子どもは、人類最後の希望でもある。そして生命の誕生、生命の神秘を謳うのだ。
手持ちカメラが諸刃の剣に・・・
今年(2006)は人類滅亡の危機をテーマにした近未来物語の作品が多い。そんななかで、この作品の世界観がいちばん現実的だ。
ただ、たったひとりの妊婦を護ることにどれほどの意義があるのか最後まで曖昧なのがしっくりこない。手持ちカメラの映像は、戦闘のリアルさは伝わってくるものの、その分、重点が偏ってしまい、本来のテーマがボケてしまった。
なんにしても・・・映画のように人類の危機を脱してほしいものだよ、若者の皆さーん!!
異様な臨場感
良い映画とは何よりもまず映画的な体験でなければならない。物語を述べるという点では、映画は決して小説には勝てない。原作を忠実に追ったハリー・ポッター 1, 2 より、アルフォンソ・キュアロンの撮った 3 のほうが映画的に優れているのは当然である。重要なのは没入感、緊迫感であり、今我々は何かすごいものを目撃しているのだ、という気にさせることである。その意味でトゥモロー・ワールドは、比類ない映画的体験だ。
これが並みの映画でないということは、冒頭のコーヒーショップの場面ですぐ分かる。ワンカットで突然のテロ爆破まで描き、我々を現場に放り込む。素晴らしいことに、撮影技術がそれ自体のためではなく、あくまでも、一人の人間ではどうしようもない巨大な運命の中のかすかな希望を描くというこの映画の目的のために使われている。常にセオを中心にし、ワンカット長回しによる異様な臨場感を用いることで、我々はセオと現実を共有する。セオたちが階段を下りてくるあの心を揺さぶる映画的瞬間に必要なのは、子供が生まれなくなった原因の説明などではなく、子供が本当にいないという現実感なのだ。最初から最後まで緊張が持続する傑作である。
凄まじい
自ブログから抜粋で。
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ありうる未来を舞台に、命の重さ、尊さをストレートに描いた問題作。
人はここまで追い詰められなければ、命の尊さを思い出せない愚かな生き物なのか。
予告から予想されるようなSF映画ではなかったけれど、凄いものを観させられた気分。
時折見せるワンカット長回しのシーンが技術的にも、内容的にも凄まじい。
いわゆる娯楽大作とは一線を画す硬派な語り口に見応え充分。
一度は観ておきたい傑作。
静かに、そして深く胸に迫る傑作
この映画を的確な言葉で推薦することのできない自分のリテラシーの低さに嫌気がさすけど、陳腐な言葉なのを承知で推薦すると、静かに、そして深く胸に迫る傑作です。
原因不明による女性の不妊化が進んだ未来(2027年という設定)という舞台にリアリティ生み出した世界観の構築、美術、映像、そして音楽、そのどれもが素晴らしい。もしまだ観た事がない方がいたら、絶対に観ることをオススメします。傑作です!
最後の長い長いワンカット
この映画はアクション映画だと思います。
ストーリーはややこしいので語りません。
ワンカットの戦闘シーンが複数ありますが、ラストは一見の価値有り!主人公の背後から撮影している映像はとにかくリアル!
その辺の映画とは違います。
戦争映画やゲームが好きな人は是非!
メッセージが強い映画です。
人類が生殖能力を失ってから18年経った世界。舞台はイギリスです。
いまの”テロとの戦い”をそのまま推し進めていくと、こうなってしまうのか?と思わず思ってしまいます。テロはまだ続いており、世界は平和になるどころか、テロが蔓延しています。イギリスが舞台なので、他の国は出てきませんが、イギリス以外はかなり悲惨なことになっているようですね。ロンドンの街中を、第三世界にありがちなバイクタクシー(?)の様な乗り物が走り抜けているのは、その象徴でしょう。また、物語後半にデモシーンがあるのですが、イスラム世界の象徴の言葉を口にしていました。
人類がなぜ生殖能力を失ったのかは、遺伝子操作、環境汚染、いろいろ理由はありそうですが、物語の中では明らかにされません。また、テロ組織FISHの背景も、子供を連れて行くヒューマン・プロジェクトの背景も明らかにされません。また、ラストシーンも、ちょっと尻切れ感が・・・。このあたりが、見ていてちょっと消化不良を起しそうになります。
いろんな意味で、メッセージ性が強いですね。まずもって、テロとの戦いがまだ続いていて、世界は難民?であふれかえっているという設定はかなり皮肉です。世界は全然安全にはならないのですね。この映画では、子供が生まれてこないというのは絶望の象徴で、新たな子供は希望の象徴なのでしょうか? ネタばれになってしまうので詳しくは記しませんが、ラスト近くシーン(宣伝文句上の『クライマックス。緊張の8分間』)はとっても印象的でした。考えさせられる映画です。
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