「生きることの意味と人間の残酷さ」戦場のピアニスト ころんさんの映画レビュー(感想・評価)
生きることの意味と人間の残酷さ
事実は小説より奇なり、の如く、事実は小説より残酷でした。
映画で衝撃を受けた私は、映画の脚本ではなく、本人が書いたものが日本語に翻訳されたものを購入して読みました。
そして、さらに衝撃を受けました。事実は映画(原作本)よりも恐ろしく、人間の残酷さを実感しました。結婚後旦那に読ませたら、あまりの残酷さに途中でリタイヤしていました。
映画ではピアノも演奏されますが、ピアノがあれほど寒々しい旋律に聞こえたことはありません。
残酷で悲しい映画ですが、人のやさしさも垣間見える映画でもあります。
やさしさと残酷さを合わせもっているのが人間なんですよね。
なかなか映像化するのが難しい内容なのですが、そこを薄くならずに映画化できたのは本当にスゴイと思います(監督ロマン・ポランスキーだからかな?)。
映画見ていて実際に自分がその場所に今いるような錯覚にすら陥りそうになり、恐怖を感じながら最後まで見ました。音もリアルに響いた記憶があります。
生きることの意味と人間の残酷さについて、改めて考えました。
人間のさがとして、自分だけがよければ良いという感情は誰でもあると思うんですよね。
いじめとかそうじゃないですか?、見て見ぬふりする人もそうですよね?
ユダヤ人迫害って、実際に関係していたドイツ軍関係の人たちも、すごくそれと似ているんですよね。
みんな傍観者というか、「任務を遂行しただけ」という意識が強くて、人を殺したり迫害をしたという意識が非常に低いというか、「無い」のです。
自分は収容所へ運ぶための列車に人を何人運べるかを管理した。
自分は人数と名簿からリストを作成した。
などの、国家からの任務を遂行をしたという意識しかない。
学校での集団のいじめや、国家命令の恐ろしいところって、そこですよね。
人間の思考を奪う。
面倒だから傍観者になれるし、自分さえよければいい、という感じ。たぶん迫害も同じ。
ヒトラー政権時、レジスタンスのため地下組織で活動した人たちを尊敬します。
私は傍観者になってしまう人だと思うので。
同じ背景の映画としては、シンドラーも有名ですが、私には戦場のピアニストの方が胸に響きました。どこが違うのか?、もう一度シンドラーのリスト見てみよう。
映画を見る前にもユダヤ人迫害についてはアンネの日記や、アンネをかくまったミープさんが書いた本も読んでいました。
TVも見ていました。
(中学生頃に、NHKで放送した「キティアウシュビッツに帰る」というイギリスのドキュメント)
今まで見たもの以上の衝撃(ショック)が、この映画にはありました。
2003年に映画館で見ました。
仕事関係の研修会(という名の忘年会)で鑑賞券が当たりました。
1枚だったので珍しく一人で鑑賞。
当時は夜遅くまで働いていたので、最終上映にすべりこみ、良さそうなタイトルの映画を選んだつもりだったのですが、タイトルとは違いました。
生きていると辛いこともあります。
今でもときどき、生きることの意味を考えることがあります。
生きたくても生きることができなかった、多くの方々のことを忘れないようにしたいです。
悲しい映画なのですが、何故か、また見たいなと思える映画です。
希望の光が少し差し込んでいるような映画です。