劇場公開日 2023年12月1日

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「結局生き残るのは偶然なんだなと。」戦場のピアニスト 松本一輝さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0結局生き残るのは偶然なんだなと。

2021年9月3日
iPhoneアプリから投稿

第二次世界大戦でかつ、ユダヤ人に焦点を当てた作品って、”シンドラーのリスト”とか”ライフ・イズ・ビューティフル”とか陰鬱な雰囲気で、救いのないお話なんだけど、必死に生き残ろうとする主人公たちをみて、頑張って生き残れ!って共感できるように演出して、如何に物語として成立させるかが、映画として大事になってくるんだけど、本作は僕の中で満点でした。

実際にロマン・ポランスキーがユダヤ人で、幼い頃に強制収容所で育った人って聞くと、彼のアメリカでの行いはともあれ、彼の経験を後世に語り継ぎたいっていう強い意志が、拘りが感じ取られて、素晴らしい作品に仕上がっていたと思う。

エイドリアン・ブロディ演じる主人公が、ただひたすらに周りによって生かされるってのも、主人公っていうより、ただの一般市民って感じが強くて良かっし、物凄くリアルに描けていた。彼が2時間半の間にただひたすらにボロボロになっていくのも引き込まれた。主人公が弱いってのも”戦場のピアニスト”の好きなところ。

最後の方のポーランドの町が崩れているシーンも、ただひたすらに絶望的で良かったし、実際戦争があったら、あんなにぐちゃぐちゃになるんだろうなと思えた。ドイツ軍将校がユダヤ人を虫のように殺すシーンも、本当にこんなんだったんだろうなと思って、戦争が人を狂わすのが見ていて怖すぎた。ただ黙って殺されるユダヤ人も、色々あるけど、死んだ方が楽だと思ったのかなと捉えられた。

松本一輝