「壮大且つ見事なポーランド・ユダヤ芸術家の第二大戦史」戦場のピアニスト Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
壮大且つ見事なポーランド・ユダヤ芸術家の第二大戦史
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ポーランドのユダヤ中産階級家庭に襲い掛かったホロコーストの理不尽さが、冷酷なまでに描写されていた。そして後半、ピアニスト・シュピルマンの危機脱出劇では戦車まで登場し、大迫力で唸らされた。また、ユダヤ人のみならずポーランド人からの命がけの援助があったことも、丁寧に描かれていた。
ピアニストを助けるドイツ人将校の存在は、戦火の中での人道的な救い。そう、戦争は人間の営みであり、巨悪だけでなく、善行や善人も存在する。そして、二人の間で、人種、国籍、立場を超えて伝わるショパンのピアノ旋律の凄み・美しさ、ひいては高い技能レベルでの芸術の感動と普遍性。
ただ、将校の方は、ピアニストの活躍と対照的に、その後ロシア獄中で亡くなったことが示される。その不条理さは、やはり戦争のなせるところか。その戦火の中であっても、ユダヤ人とポーランド人とドイツ人の協力があった史実、それを映画として見事なまでに見せつけるポランスキーの監督技量は普遍性が有り素晴らしく、感動させられる。
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